月刊・経済Trend 2012年2月号 巻頭言

自然保護と産業界の役割

石原副議長 石原邦夫
(いしはら くにお)

経団連評議員会副議長/東京海上日動火災保険会長

経団連では、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)の前年、「地球環境憲章」を発表し、92年から自然保護協議会を通じてさまざまな自然保護活動を支援してきた。1%(ワンパーセント)クラブが毎年実施している社会貢献活動実績調査によれば、企業の社会貢献関連支出において、「環境」分野のウェートは、「教育・社会教育」とともに近年高まってきており、企業が環境保護活動を重視する傾向にあることがうかがえる。

東京海上日動では、1999年から東南アジア等の国々でマングローブ植林を行っている。開発等に伴い減少するマングローブ林を再生し、生態系の回復や地球温暖化防止に寄与することを目的にスタートした活動であるが、NGOや現地住民のご協力を得ながら継続してきた結果、これまでに植林した面積は6824ha(東京ドーム1459個分)に広がった。2009年からは、お客様が、保険の「ご契約のしおり(約款)」をインターネットで閲覧する方法(Web約款)を選択された場合に、そのご契約件数に応じて植林を行う「Green Gift」プロジェクトのかたちで植林に取り組んでいる。

10年ほど前に植えた苗は大きく育って周囲に豊かな生態系が蘇りつつあり、地域住民に水産資源など生活の糧をもたらしている。住民自身がその恵みを認識し、マングローブ保全の取り組みを行う地域も出てきた。一方、日本国内では「みどりの授業〜マングローブ物語〜」として、全国の小学校等で社員が出前授業を行い、地球を守ることの大切さを、次代を担う子どもたちに伝えている。

自然保護には政府・産業界・学界・NGO・市民などあらゆるセクターが協力し、継続する努力が必要であるが、とりわけ産業界にはリーダーシップを担うことが求められている。当社は、お客様やNGO、地域住民の皆様とともに進めるこの植林活動を「地球の未来にかける保険」と位置付け、今後も長く取り組んでいく所存である。


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