経済くりっぷ No.1 (2002年7月9日)

6月14日/意見書

インターナショナルスクール問題に関する提言
「グローバル化時代に対応した教育基盤の整備に向けて」
を公表


経済社会のグローバル化の進展に対応するためには、現在の学校制度の枠にとらわれず、多様な教育・人材育成のシステムを取り入れていく必要がある。日本経団連では、その具体的な施策の一つとして、インターナショナルスクールを取り上げ、その役割を積極的に評価するとともに、インターナショナルスクールをめぐる諸問題の改善策を提言した。以下はその概要である。

  1. グローバル化時代における教育
  2. 国際化に対する国家戦略の確立 国際社会で活躍するための教育へのニーズの高まりに対応
     →わが国の教育の国際化、教育水準の向上にも資する
    インターナショナルスクールの役割の積極的評価
    「複数の国籍の生徒が席を並べ、国際水準の教育を英語等によって実施する教育機関」
    現状:入学希望者が急増し受け入れ能力が限界、正規の「学校」でなく各種学校の扱い

  3. インターナショナルスクールの意義
    1. 国際的に通用する人材の育成
      「自分の考えを伝える能力」「異文化理解能力」「説得力のある論理構成を組み立てる能力」

    2. 国際教育の拠点としての機能
      生徒の交流の場、英語教員への教授法の再教育

    3. 帰国子女の国際能力の維持
      帰国後の教育との連続性の確保、海外での経験・学業の充実に専心可能

    4. 外国人子女の受け入れ
      対日投資促進の基盤

    5. 大学・高等学校の国際化の促進
      インターナショナルスクールからの進学生との相互啓発を通じた国際化

  4. インターナショナルスクール問題の改善策
    1. 一条校に準ずる教育機会として認めること
      現状:一条校のみが正規の学校→特例で認める

    2. 卒業生に対し上級学校(大学・高等学校)入学資格を付与すること
      現状:国際資格の取得あるいは大学入学資格検定資格合格が大学入学資格
        →認定機関による評価認定を受けた学校の卒業生は入学資格を認める

    3. 国際教育への取組みに対する助成を行なうこと
      現状:一部の自治体のみが小規模の助成→助成拡大

    4. 税制上の優遇措置を導入すること
      インターナショナルスクールの設置を目的とする法人を特定公益増進法人に指定

    5. 施設整備の弾力化を図ること
      教育施設の借用を広げること

  5. 将来的な課題
    1. 教育機会の多様化
      自己責任において多様な教育サービスから自由選択する制度へ

    2. アジア諸国の学生が共に学ぶ学校構想の実現
      アジア諸国の初等中等教育レベルの子どもたちがともに学ぶ学校の実現


経済くりっぷ No.1 目次日本語のホームページ