経済くりっぷ No.1 (2002年7月9日)

6月15日、16日/第1回産学官連携推進会議

産学官連携の成功モデル構築に向けて

−内閣府、日本経団連、日本学術会議主催


日本経団連では、6月15日、16日の2日間、国立京都国際会館にて「第1回産学官連携推進会議」を内閣府、日本学術会議とともに主催した。当会議には、第一線の研究者や実務者らも含め、3,700名超が参加し、産学官連携を一層推進するため具体的な課題の抽出、対話・交流の推進を図った。日本経団連からは、奥田会長はじめ、吉野副会長、西室副会長、庄山産業技術委員会共同委員長、関係部会長が出席したほか、会員企業からも多数の参加を得た。なお、同会議は、昨年11月に開催した、産学官のトップ300名による「産学官連携サミット」の成果をふまえたものである。

  1. 会議概要
    1. 当会議では、まず、全体会議として、尾身科学技術政策担当大臣、奥田会長、吉川日本学術会議会長から挨拶があり、昨年のサミット以降、産学官連携に対する気運が高まり環境整備が急速に進んでいることが確認された。奥田会長からは、企業においては、自らの事業の中長期的展望の中で、自前主義に陥らず、自分たちの役割と大学に期待するニーズを明確に打ち出すことを通じて、わが国の産学官連携の成功モデルを構築することが重要であると挨拶があった。また、米国MITのTLO(技術移転機関)のリタ・ネルソン所長、バイオテクノロジー大手のアムジェン社バインダー前会長、カリフォルニア大学中村修二教授等の特別講演で、アメリカにおける産学官連携に関する取組みの実例や日本への示唆などが説明された。

    2. 各分科会では、「大学発ベンチャーの育成」「産学の共同研究(大企業中心)」「地域中小企業に対する技術指導」「産学官の共同研究プロジェクトの推進」の4つの横断的な課題と、「ライフサイエンス」「IT」「環境・エネルギー」「ナノテク・材料・製造技術」「社会基盤・宇宙・海洋」の5つの分野別の課題に分かれ、各々のテーマに関して、積極的な意見交換が行われた。特に、産業界側からは、大学等の研究機関は、企業同様、自らの国際競争力の強化を意識すべきであるとの指摘がなされ、そのための、人材交流や組織をあげた対応の重要性などが強調された。

    3. その他、エキジビション・セッションとして、大学、研究機関等約90機関による研究成果の発表や展示、ベンチャー向けの出資や弁理士による知的財産権等の法律事項などに関する無料相談ブース等が開設された。

  2. 日本経団連の今後の取組み
  3. 日本経団連では、全体会議、各分科会で指摘された、税制上の課題や、産学官を跨ぐ人材の交流・育成、大学改革への産業界意見の反映、企業側ニーズの継続的な発信といった課題について、引き続き、産業技術委員会を中心に、関係委員会とも連携を図りつつ検討していく。


経済くりっぷ No.1 目次日本語のホームページ