7月24日/日本メキシコ経済委員会(委員長 塙 義一氏)
日本メキシコ経済委員会では、7月24日に2002年度定時総会を開催した。総会においては塙新委員長のもと、2001年度事業報告・収支決算、2002年度事業計画・収支予算、役員の改選と規約の改正を、原案通り承認した。当日は、総会審議に先立ち、外務省の島内憲 中南米局長より、最近のメキシコ情勢について講演をきいた。
2000年7月に、71年ぶりの政権交代で国民行動党(PAN)のフォックス大統領が誕生した。これは、メキシコの政治システムそのものの変化を意味し、長きにわたった政治の民主化プロセスの成果である。強大な大統領の権限がなくなり、民主主義の成熟化によって、権力が分散している。
フォックス大統領は、セディージョ前大統領の政策を継承しつつ、手堅い経済運営を行っている。いまや、メキシコのGDPはASEAN10の総額に匹敵する。米国経済の減速と同時テロの影響で2001年の経済成長率は、マイナス0.3%であったが、2002年には2%弱のプラスに転じる見込みである。メキシコ経済のファンダメンタルズは底固い。
外交面では、フォックス大統領は、積極外交方針をとり、かなりの成果を出している。フォックス外交の柱は、
外交面と比較して、政治・経済面での具体的成果が十分でなく、フォックス大統領への国民の支持率は下降気味である。与党(PAN)が議会で過半数に達していないこともあり、なかなか改革の具体化が進まない。議会との関係円滑化が、フォックス政権の最大の課題である。また、来年7月の下院選挙が今後の政権の動向を左右する。
日本にとりメキシコは、中南米における有力な貿易投資相手国であり、メキシコにとり日本は、先進国入りしつつある中で重要な経済パートナーである。両国は相互に戦略的重要性がある。日墨FTA締結の可能性も含め、経済関係強化策を検討する、産学官の共同研究会は、7月24、25日の最終会合後、報告書を発表する。日本政府は、メキシコで非FTA締結国企業として不利な競争条件下にある日本企業の現状を十分認識している。報告書の内容を踏まえ、広範かつ具体的な対応を検討していきたい。
1996年に委員長に就任して以来、日墨FTAが委員会活動の大きなテーマであった。ようやく共同研究会の報告書も発表されることになり、日墨FTAに関しての新しい局面が期待できる。6年間の在任中、委員の皆さんからご支持いただいたことに、改めてお礼を申しあげる。