7月23日/日本・インドネシア経済委員会(委員長 上島重二氏)
日本・インドネシア経済委員会では、7月23日に2002年度定時総会を開催し、2001年度事業報告・収支決算、2002年度事業計画・収支予算ならびに役員の改選と規約の改正につき審議し、原案通り承認した。当日は、佐藤百合 アジア経済研究所主任研究員より、メガワティ政権の現状と展望について、説明をきくとともに懇談した。
メガワティ政権以前のハビビ、ワヒド両大統領は、改革を急ぐあまり、政治社会面での不安定を招く結果となった。メガワティ政権は、その反省を踏まえ、「改革優先」から「安定優先」路線をとっている。その結果、これまでのところ、政治の安定と同時に、経済面でも中程度の成長路線に乗っている。
メガワティ政権が相対的に安定している要因としては、
2001年以降、インドネシアの貿易額、外国投資受入額は、落ち込んでいる。しかし、2億人市場である国内消費が好調であるため、2001年は、3.3%のGDP成長を果たした。かつてのスハルト政権時代は、外国投資の流入に牽引されて、年平均7〜8%の経済成長が可能であったが、現在は内需主導による年平均3〜4%の成長軌道上にある。
憲法改正により、2004年の次期大統領は、国民投票によって選出され、メガワティ再選の可能性は大きい。大統領選出機能を失う国民協議会(MPR)は、政治力を弱めるだろう。アチェやイリヤンジャヤの分離独立問題について、政府は、特別立法により、天然資源収益を当該地方に厚く配分する枠組みをつくり、問題の解決を図っている。地方の治安の乱れとともに復権してきた国軍が、暴走することなく、バランスのとれた治安維持機能を果たす必要がある。インドネシアの政治システムは、現在、試行錯誤の時期である。2009年に行われる予定の大統領選挙が円滑に行われて初めて、インドネシアの民主主義は定着に向かうだろう。
経済面では、域内経済統合、中国の台頭の中で、どこにインドネシアの産業競争力を見出せるかが課題である。インドネシアは、中国を市場および投資供給者とみているが、投資誘致の上では、インドネシアは部品供給能力や労働生産性など、中国と比較した際の弱点がある。競争力強化に向けての有効な政策を打ち出す必要がある。