経済くりっぷ No.3 (2002年8月13日)

7月16日/日本ベトナム経済委員会(委員長 宮原賢次氏)

日本ベトナム経済委員会2002年度総会を開催


日本ベトナム経済委員会では、2002年度総会を開催し、2001年度事業報告・収支決算、並びに2002年度事業計画・収支予算を原案通り承認するとともに、役員の改選および規約の改正を行った。また、当日は、総会審議に先立ち、日本貿易振興会(JETRO)の池部亮課長代理から、「ベトナムの中の日本と中国〜中国要因を受け新たな発展経路」と題する説明をきいた。

○ 池部氏説明要旨

1.国会議員選挙の結果について

本年5月に実施されたベトナム国会議員選挙のポイントは、昨年末の憲法改正で権利が拡大した国会において、どの程度民主化が進み、共産党色がどこまで薄まるか、というものであった。選挙結果を見る限り、非党員の議員数は減少したものの、企業関係者の議員が増加するなど、政治に経済界の声が反映される形となった。また、議員の再選率は27%にとどまり、共産党においても競争原理が働き、世代交代も進んだ。大きな流れとしては、政治の透明性が高まり、民主化が進んだと言える。今後、政治面での火種になりうるのは、ナムカムという犯罪組織と政治の癒着を巡るスキャンダルである。当初、南部ベトナムから表面化してきたこの問題が、現在は、中央政界に波及しつつあり、国民の共産党離れにつながることが危惧されている。

2.ベトナムの経済情勢(中国、日本との関係)

2001年のベトナムと中国との間の貿易額は、1991年の80倍になっている。現在では、ベトナムの輸出相手国は日本に次いで中国が第2位である。輸入面では、中国製の安価なバイクが、1999年から2001年にかけて大量にベトナム市場に流入してきた。その影響でベトナム国内におけるバイク普及台数は飛躍的に増大したが、国内の部品産業の発達が阻害されたり、模倣品の横行により不公平な競争環境を生じるなど、問題も出てきた。政府は、現地調達率に応じた輸入部品の関税に対する計算比率を変更し、中国製バイクのシェア拡大に歯止めをかけた。この結果、2002年に入り、中国製バイクのシェアは激減したが、日本企業も、税率変更による大きな痛手を被っている。
2001年に入り日本企業の進出により、にわかにベトナムブームが再燃した観がある。日本は投資認可額では第3位だが、実行額は第1位である。日本の投資は堅実であり、また製造業が多いことからも、ベトナム政府に大いに歓迎されている。外国投資法が改正され、外国企業の投資環境も、改善されつつある状況である。

3.ベトナムの優位性

国際経済において中国の存在が大きくなるにつれ、リスクヘッジの意味でもベトナムの重要性が注目されている。ASEANの中でも、ベトナムは政治的安定度の高さや中国に隣接した立地条件などの点で優位性がある。歴史的、文化的に北部は中国色、南部はASEAN色が強く、中国、ASEAN両方と接点がある点もベトナムの強みである。

《担当:国際協力本部》

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