経済くりっぷ No.3 (2002年8月13日)

7月22日/環境安全委員会地球環境部会(部会長 桝本晃章氏)

環境自主行動計画第三者評価委員会を設置


日本経団連は1997年に温暖化問題への自主的な取組みとして環境自主行動計画(温暖化対策編)を策定して以来、毎年フォローアップを実施している。このたび、地球環境部会は、計画の透明性・信頼性をより一層向上させるため、環境自主行動計画第三者評価委員会(委員長:山口光恒 慶應義塾大学経済学部教授)を設置することを決定した。

1.設置の経緯

1997年、京都議定書の採択に先立ち、経団連傘下の37業種が、自主的に温暖化問題に取り組むため、環境自主行動計画を策定した。計画では、業種ごとにCO2排出削減の数値目標を立てるとともに、「産業・エネルギー転換部門の参加業種からの2010年度のCO2排出量を、1990年度レベル以下に抑える」という統一目標を掲げた。以後、毎年、目標の達成状況に関してフォローアップを行い、秋に公表してきた。2001年度に実施した第4回フォローアップの結果、2000年度のCO2排出量は1990年度比1.2%増と微増したが、過去4年間の排出量を見ると、ほぼ目標水準で推移している。
本年3月公表の政府の新しい地球温暖化対策推進大綱では、環境自主行動計画は環境と経済の両立を目指す大綱の中核の一つと位置付けられ、大きな成果をあげてきたと記された。
同時に、環境自主行動計画の透明性・信頼性の向上を図るため、第三者機関による登録・認証制度の円滑導入を後押しすることが盛り込まれている。
そこで、地球環境部会で検討した結果、日本経団連の外に第三者委員会を設置し、フォローアップが適正に行われているかについて評価を受けることとした。

2.委員会の構成

地球温暖化問題の第一人者であり、国際的なルールの策定にも関わっている慶應義塾大学の山口教授に委員長を委嘱した。山口教授は「環境自主行動計画は、自主協定の例として、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3次報告書にも記載されている。今後とも規制的な措置がなるべく導入されないよう、環境自主行動計画をより良いものにしていきたい」と抱負を述べた。
委員は、エネルギーの専門家として筑波大学の内山教授、シンクタンクから三菱総合研究所の青柳部長、NGO代表としてグリーン購入ネットワークの佐藤事務局長、消費者代表として原早苗氏、産業界の立場から神戸製鋼所の根上顧問の5名に、会計監査の専門家を1名加える予定である。

3.今後の活動予定

委員会は、今年度実施する第5回フォローアップのデータが提出される9月末以降、月1回程度会合を開催、各業界からヒアリングを行いながら、業界団体によるデータの収集・集計・提出方法を評価する。これに基づきフォローアップのデータの透明性・信頼性についての評価ならびに改善点を取りまとめ、来年2月末までに報告する予定としている。

《担当:環境・技術本部》

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