経済くりっぷ No.3 (2002年8月13日)

7月4日/社会貢献担当者懇談会・社会基盤整備(座長 瀬尾隆史氏)

NPOの基盤強化につながる情報公開のあり方

−米国NPO検索サイト「ガイドスター」に学ぶ GuideStar - The National Database of Nonprofit Organizations


公益法人制度の見直し、NPO法人への支援税制の改正など、非営利組織(NPO)をめぐる議論が活発になってきている。今後、NPOが活躍するには、透明性とアカウンタビリティを高め、社会から信頼を得ることが重要となる。そこで、全米の95万におよぶNPOの事業内容、財政状況などを公開するウェブサイト「ガイドスター」のバズ・シュミット会長に、ガイドスターの考え方やしくみを聞き、NPOの情報公開のあり方について懇談した。

○ シュミット会長説明要旨

1.ガイドスターとは

ガイドスターは、情報を通じて慈善事業と非営利団体活動に“革命を起こす”ことを使命に、フィランソロピック・リサーチというNPOが1994年に立ち上げたデータベースである。データの基礎は、年収25,000ドル以上のNPOに提出が義務づけられている税務申告書であり、IRS(米国内国歳入庁)の協力を得て入手している。ウェブサイト上で無料検索できる情報には、約95万団体について、各団体の目的、事業の概要、昨年度の事業成果と今年度の目標、財政状況、理事会、税務申告書“Form 990”が掲載されている。
ガイドスターには、年間370万人、3,220万ページのアクセスがある。個人寄付者の利用が半数を占めるが、利用頻度からするとNPOや研究機関・政府機関、助成機関に週5回以上利用するヘビーユーザーが多い。

2.財務分析の活用方法

NPOを財政効率性で評価する場合、事業費比率(総経費に占める事業費支出の割合)75%が適正値とされている。しかし、多種多様なNPOを一律の基準で比較しても意味がない。NPOの財務効率性をより適切に判断するには、活動分野、規模、地理、事業のタイプ、成長率、活動年数などさまざまなサブグループ内での平均値や分布から、自由に比較する必要がある。

3.NPOを判断するための情報提供

NPOが寄付に価するかを判断する時には、寄付者の個人的な価値判断が働く。資金獲得の効率性、支払能力、資金源の多様化、成長率、受益対象、活動地域などの指標に、個々人に応じた係数を加味することになる。ある人は、受益対象を重視し、またある人は財政効率性を重視するかもしれない。寄付する側は、自分が持つ価値観の帳簿をはっきりさせ、それを基にデータ検索すれば、自分にとって最適なNPOのリストを作成することができる。ガイドスターでは、このような個々の判断に必要な、予め価値判断を加えない、できるだけ生の情報を提供している。

4.日本へのアドバイス

もし、日本で同様のシステムをつくるのであれば、定性的な情報に焦点をあてることを勧めたい。1年間のうちに自分たちが掲げた目標に対してどれだけ達成できたのか、というアカウンタビリティを求めることが、NPOの基盤強化のためには大切である。

《担当:社会本部》

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