経済くりっぷ No.4 (2002年9月10日)

8月26日/ソムキット副首相兼蔵相一行との朝食懇談会(司会 安居祥策 日タイ貿易経済委員長)

民間部門がタイ経済の主役


さる8月26日、来日中のソムキット副首相兼蔵相、スリヤ工業相、タノン通商代表をはじめ、タイの経済担当閣僚との朝食懇談会を開催した。ソムキット副首相からは、タイ経済やタクシン政権が実施している改革の現状等について紹介があった。

ソムキット副首相兼蔵相

I.ソムキット副首相発言要旨

  1. タイ経済は2002年第1四半期、3.9%の成長を遂げた。通年では3.5〜4%の成長を見込んでおり、2001年の1.8%を上回る。国内消費が伸びており、製造部門も成長している。不良債権比率は、TAMC(国営資産管理会社)を設立して各銀行の不良債権を移した結果、10%以下になった。また輸出は、2002年4月以降大きく伸びている。経常収支は黒字になり、外貨準備高は現在およそ380億ドルである。このようにタイ経済は現在、安定的かつ安心できる状況にあるが、タクシン首相はこれに決して満足していない。

  2. タクシン政権の政策の主眼は、政府の役割を小さくして民間部門の役割を大きくし、経済の主役を民間に担ってもらうことにある。そのため、行政改革や税制改革などの各種改革を実施している。新年度が始まる10月1日をもって省庁が再編される。各省庁における業務の改善も必要だ。タイにおいて効率よく迅速にビジネスが行えるよう、必要な改革を行う。公社・国有企業の民営化も進めている。

  3. タイはASEANとの友好関係を重視してきた。AFTA(アセアン自由貿易地域)やACD(アジア協力対話)での協力を通じて、タイがASEANの中心的存在になるよう努めたい。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
日タイ貿易経済委員会日タイ経済連携タスクフォースでは、経済連携協定締結の可能性も含め、日タイ間のビジネス円滑化の方策について検討している。先般アンケート調査を実施したところ、関税引下げや投資、知的財産権保護など幅広い分野で意見・要望が寄せられた。今後調査結果をベースに要望書を作成し、両国政府に提示するとともに、日タイ合同貿易経済委員会などの場でも活用したい。
タイ側:
知的財産権保護は重要な課題であり、タイ政府はこれに真剣に取り組んでいる。権利侵害に対する取締りを強化するとともに、知的財産権の重要性を国民に認知してもらうための努力も行っている。

日本経団連側:
タイに進出した中小企業からは、労務管理等の人材の不足を指摘する声やタイの税務・法務に関する日本語もしくは英語での迅速な情報提供を求める声などが挙がっている。
タイ側:
BOI(投資委員会)、大蔵省、労働福祉省、中小企業開発庁など関係省庁が連携して、問題の早期解決に努力する。
《担当:国際協力本部》

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