7月29日/東亜経済人会議日本委員会(委員長 香西昭夫氏)
東亜経済人会議日本委員会では2002年度定時総会を開催し、2001年度の事業報告・収支決算と役員の補充選任、2002年度の事業計画・収支予算ならびに規約の一部改正を原案通り承認した。また、議案審議に先立ち、東京外国語大学の井尻秀憲教授から「最近の中台関係と米国・日本」について説明をきいた。
中台の民間団体対話は、李登輝前総統によるいわゆる「二国論」表明以降、依然途絶えたままである。他方で、中台の経済的相互依存関係は日増しに強まっている。こうした中で中国は、中台双方のWTO加盟を契機に、経済問題を中心とする対話へのサインを送っている。
中国は、昨年12月の台湾立法院選挙で民進党が第1党になったことを受けて、陳水扁政権との関係を進めていく必要に迫られた。そこで、今年1月、銭其副総理が「一つの中国」原則を前提とした対話の再開を呼びかけた。
一方台湾は、昨年対中投資について「積極開放・有効管理」政策に転換し、同11月には林信義経済部長(当時)が、「両岸の経済貿易問題を解決するにはWTOの枠組みだけでは不十分だ」と発言している。すなわち、台湾は、「一つの中国」原則を対話再開の前提とすることは拒否しているものの、中国との対話の必要性については十分認識しているものと考えられる。
最近では、「三通」交渉の民間委託が検討されている。ここでは、
最近の台湾経済は対中依存度を強めている。他方で、企業の対中進出の加速による国内産業の空洞化、8インチウェハーの技術移転解禁に代表される中国への技術流出などが懸念されている。台湾はWTO加盟後、日本、米国、シンガポール、ニュージーランドなどとのFTA締結に向け積極的に動いているが、これは、中国への過度の依存を回避するための外交カードと考えられる。台湾の意図は、FTA締結により自らの存在空間を広げるということだろう。