経済くりっぷ No.4 (2002年9月10日)

7月29日/カナダ委員会(委員長 吉野浩行氏)

日加産業協力の一層の強化に期待


日本経団連総会において日本カナダ経済委員会から改組されたカナダ委員会では、さる7月29日、改組後初めての会合を開催し、ロバート・ライト駐日カナダ大使を招いて、カナナスキスサミットの成果と日加経済関係のあり方などについて話をきくとともに意見交換を行った。

I.ライト大使講演要旨

1.カナナスキスサミットの成果

サミットでは、(1)テロとの戦い、(2)アフリカの開発問題、(3)国際経済の発展のために取るべき措置の3つが主な議題となり、それぞれについてG8の協力が確認された。(2)に関してはアフリカ諸国の投資環境整備などで日加両国の産業界が協力する余地は大きい。また、サミットに並行して開催された日加首脳会談では、2003年春にも小泉首相のカナダ訪問が実現の見通しとなったが、これも両国経済関係強化の良い機会となろう。

2.カナダ経済の現状

カナダ経済は、良好な連邦財政、研究開発と教育を重視したイノベーション戦略の成功などを背景に、G7諸国中でも最高の成長を記録しており、今年から来年にかけて3.5%から4.5%のGDP成長率が予測されている。

3.日本経団連カナダ委員会への期待

カナダ委員会には、(1)地球環境問題、(2)コーポレートガバナンス、(3)競争力強化、などの問題についてカナダ側産業界、政府との意見交換および協力の促進を期待している。またWTOの新ラウンドへの対応でも両国の政府・産業界が協力できる余地は大きいのではないか。
さらに、カナダ委員会とカウンターパートであるカナダ経営者評議会(CCCE)の間で日加間の産業協力に関する分野別ケーススタディを行うことも考えられる。例えば燃料電池、ソフトウェア、環境、航空宇宙、バイオなどの分野ではすでに日加間で産業協力が進んでおり、検討に適した分野ではないか。
日加間の貿易投資関係の活性化のために両国政府は支援を惜しまないが、何よりも産業界が行動を起こすことが必要であり、日本経団連のリーダーシップとアドバイスに期待している。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
日本経団連とCCCEが日加経済人会議の場で、ここ数年、日加経済関係の多様化や新しい貿易の枠組みについて意見交換を続けた結果、両国経済界では、意見の相違はあるものの今後検討すべき課題について共通の認識ができつつある。今後も日加経済関係の多様化に引き続き努力したい。

日本経団連側:
日日加自由貿易協定(FTA)を検討する場合、カナダ側にとってのメリットは何か。
ライト大使:
日FTAにより、カナダ経済が一層効率化し、企業の競争力が高まることである。
《担当:国際経済本部》

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