経済くりっぷ No.4 (2002年9月10日)

8月1日/日本メキシコ経済委員会(委員長 塙 義一氏)

日墨FTAに向け大きな前進

−「経済関係強化のための日墨共同研究会」報告書に関する説明会を開催


日墨両国政府間に設置された産学官のメンバーからなる「経済関係強化のための日墨共同研究会」は、7月26日に、日墨自由貿易協定(FTA)の早期締結が両国の関係強化に有効であるという提言を含む、報告書を発表した。日本メキシコ経済委員会では、8月1日に、共同研究会の共同議長を務めた外務省の高瀬寧中南米第二課長、財務省の片山さつき関税企画官、経済産業省の住田孝之大臣官房企画官、農林水産省の梶島達也貿易・情報室長より、報告書についての説明をきくとともに懇談した。

I.説明要旨

2001年6月5日、フォックス メキシコ大統領が訪日した際の日墨首脳会談にて、経済関係強化のための方策について、FTAの可能性も含め包括的に議論するため、産学官からなる両国研究会の設置が合意された。これを受け、2001年9月以来、両国の産学官メンバーにより7回の会合が開催され、今般報告書がまとまった。
報告書要旨は以下のとおり。

  1. 日墨両国の経済は互いに補完し合う関係を築くための条件に恵まれており、日墨間の経済関係強化は、両国が各々の経済発展を実現する上で重要な意義を有する。

  2. メキシコのNAFTA締結(1994年)、EUとのFTA締結(2000年)以降、メキシコにおける日本企業は、欧米企業に比べて、関税、サービス、投資、政府調達などの面で不利な立場に置かれている。これは、両国間の貿易・投資拡大の制約要因となっており、共同研究会として、この状況を早急に改善する必要があることで認識が一致した。

  3. また日墨双方は、ルール・制度の変更、労働関連、治安、規制改革などのビジネス環境整備などでも協力を行うべきである。

  4. 共同研究会は、両国政府が、日墨両国民の理解を得つつ、両国の抱える諸課題を克服し、経済関係を強化するための具体策として、FTAの要素を含む二国間経済関係連携強化のための協定の締結に向けた作業に早急に着手することを提言する。

  5. 協定の内容としては、貿易・投資の自由化措置のみならず、両国間の貿易円滑化(税関手続等)・投資促進を図るための措置、さらに二国間の協力措置を含む幅広い分野をカバーするものが望ましい。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
今後の検討スケジュールの見通しを教えて欲しい。
4省庁側:
メキシコ側との交渉次第である。FTA交渉を開始する場合は、協定の範囲などについても、詰めていく必要がある。

日本経団連側:
メキシコはFTA以外でも、ビジネス環境の整備に取り組む方針か。
4省庁側:
今のところ、メキシコ側は、FTA交渉だけでなく、ビジネス環境について可能なところは改善するスタンスを見せている。

《担当:国際協力本部》

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