9月10日/英国のIT戦略に関する懇談会
英国政府は、わが国のe-Japan戦略に相当する「UK Online戦略」により、社会、経済に革命的影響を与える、知識型経済への転換を図っている。同戦略推進の実務責任者であるアンドリュー・ピンダーe政策担当特使が来日した機会に、同特使を招き、UK onlineの目標と成果についてきいた。
英国経済は、かつては製造業に支えられていたが、生産拠点の海外移転が進んだ結果、産業の空洞化が懸念されるようになった。そこで、より付加価値の高い分野の競争力を強化するため、「電子商取引のための環境が最も整った国にしなければいけない」(ブレア首相)との考えから1999年に始まったキャンペーンが「UK Online」である。内閣府に置かれたe政策担当部門は、キャンペーンを主導する立場にあり、政府全体の調整役として機能している。
「UK Online戦略」の柱は、
行政サービス等を最も必要としている人々がそれにアクセスできるようにするため、全国各地に4,000の「UK Onlineセンター」を設置するとともに、国民に対する啓蒙活動を展開している。今や、インターネットにアクセスできなければ、経済的にも、また社会的・文化的にも損失を蒙る可能性がある。
英国企業の約75%は自社のウェブサイトを持っており、これは欧州平均を上回っている。また、英国企業の約25%は積極的にオンラインで取引を行っており、米国や日本に比べて高い数値を示している。
2005年までに地方を含む政府の全サービスをオンライン化することを目標にしている。現状では行政サービスの52%がオンライン化されており、年末には72%に引上げるつもりである。重要なことは、全てのサービスをオンライン化することではなく、適切なサービスをオンライン化すること、オンライン化にあたって業務のプロセスを一から見直すことである。
最近始めた試みに、e-デモクラシーがある。インターネットはコミュニケーションツールとして、世論形成にも重要な役割を果たすようになっている。若者の政治参加を、インターネットを通じて促す道を探っているところである。また、実験的に電子投票を行っているところであり、将来は、オフィスや家庭、駅のキオスクや携帯電話から投票できるようにしたいと考えている。今後は、立法が電子化の動きを妨げないよう、監視していく必要がある。