経済くりっぷ No.7 (2002年10月22日)

10月1日/タノン・ピタヤ タイ通商代表との懇談会(司会 安居祥策 日タイ貿易経済委員長)

日本との経済連携は多くの分野で相互に利益をもたらす


タクシン タイ首相の経済顧問でもあるタノン通商代表の来日を機に懇談会を開催し、日タイ間の経済連携強化に対する考えや日・ASEAN包括的経済連携構想への見解などについて意見交換を行った。

I.タノン通商代表発言要旨

  1. アジアは北米や欧州と比べて競争力や開放度において劣り、多くの問題を抱えてもいる。AFTA(ASEAN自由貿易地域)は金融危機により全面的な実現が遅れたが、ある程度の猶予期間の後、必ず達成できると考える。

  2. 中国経済が高成長を遂げて再び台頭する一方、ASEANはようやく危機の底を打った。そこで、東アジアにおける日本と中国、ASEANの協力の可能性が見えてきた。そうした中でタイは、ASEANのハブとして域内における輸出拠点となるべく、開放路線の経済政策をとるとともに、主要国との二国間協定締結の可能性を探っている。

  3. 日タイ間の経済連携強化は、多くの分野にわたり相互に裨益する点が多い。タイは日本企業の積極的な投資や、タイの農業技術向上のための経営技術、ノウハウの移転などを求めている。日本企業のタイ進出やタイ市場参入の際の障害、阻害要因を撤廃・軽減するためにも、日タイ間の包括的な経済連携協定を実現する必要がある。

  4. タイは日・ASEAN包括的経済連携構想を全面的に支持している。ただし、実現には長い期間を要するだろう。日本がシンガポールとの間で締結した経済連携協定は、他のASEAN諸国にとって必ずしも大きな意味合いを持つものではなかった。しかし日タイ間の協定が実現すれば、他のASEAN諸国にとってもより参考となる良いモデルになると考える。

  5. タクシン首相が提唱したアジア協力対話(ACD)は、アジア諸国間でオープンな話し合いを行う場として活用されることを目指したものである。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
コメは当面例外として取り扱っても良いと考えるか。
タノン氏:
短期的には、すぐに取りあげられなくても仕方がない面もあるが、完全に例外として良いということではない。

日本経団連側:
日本経団連では先般、日・ASEAN包括的経済連携構想を早期に具体化すべきとの意見書を取りまとめた。これは9月にブルネイで行われた日・ASEAN経済大臣会合での話し合いにも反映された。
タノン氏:
具体的な提言であり、私も全面的に支持したい。

日本経団連側:
日・ASEAN包括的経済連携構想具体化のためには、各国との二国間協議およびその結果できた二国間協定を積み重ねて、全体としての日・ASEAN経済連携を実現させる形式が良いと思う。ただその場合、当事国以外の国は気にしないか。
タノン氏:
注目はしても、神経質になるということはないだろう。

《担当:国際協力本部》

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