経済くりっぷ No.10 (2002年12月10日)

11月12日/ヨーロッパ地域委員会(司会 米倉弘昌 共同委員長)

経済活性化、対仏投資促進に努力

−ロース フランス対外貿易大臣と懇談


ヨーロッパ地域委員会では、11月12日、折から来日中のロース仏対外貿易大臣を迎えて懇談会を開催し、フランス経済の現状と見通し、WTOへの取組み、EU拡大の行方などについて同大臣より説明をきいた。

○ ロース大臣説明要旨

ロース大臣

1.フランス経済の現状と見通し

フランス経済は2002年には1.2%、2003年には2.5%の成長を予測しているが、個人消費が減速している。ラファラン内閣では、企業の社会保障負担の削減、所得税減税、労働に関する規制緩和、企業創出支援策の策定などに取り組んでいる。
フランス政府は対外直接投資の受け入れ促進にも努力している。フランスは欧州市場全体にアクセスできる位置にあり、多様かつ強力な産業基盤、優れた事業環境、質の高い労働力や生活環境を提供しているほか、政府も国際投資庁を通じ直接投資を支援している。さらに、各種の減税、労働時間に関する規制緩和、フランスに派遣される外国人社員に対する社会保障保険料の軽減なども検討している。

2.WTOへの取組み

EUの共通農業政策はEU内外で、開発途上国の農業を破壊し、成長を妨げていると批判されるが、EUは実際には、日米を上回る支援策を実施しており、日米以上の農産物を発展途上国から購入している。農産物輸出支援策をWTOでの交渉のテーブルに載せることは受け入れられるが、そのためには米国などの大農業国が実施している農産物輸出支援措置についても検討しなければならない。
WTOでは、医薬品に関する特許のあり方が議論されようが、研究開発資金を確保しながらも、企業の採算性を保証し、また確実に人命を救うために、さらに細かな検討が必要となろう。

3.EU拡大への取組み

EU拡大は欧州を再構築、再統合する試みであり、歴史的な出来事となる。EU拡大により、新規加盟諸国の経済成長や市場の拡大が加速するものと期待される。12月に行われるコペンハーゲン首脳会議では新たに10ヵ国の加盟が承認され、各国の批准手続の後、2004年からEUへの正式加盟が実現することになる。農業や構造調整基金のあり方についても、一定の合意が成立している。
今後、欧州委員会は、加盟候補国に対してアキ・コミュニテール(欧州共同体の基本条約に基づく権利と義務の総体)の実施状況のモニタリングを行うことになるが、新規加盟国がこれらの規定を遵守することを期待している。ルーマニアとブルガリアについては、2007年の加盟を目指している。トルコについては最近の選挙で、正義進歩党が過半数の議席を占めることになったが、今後の行動を見守りたい。

《担当:国際経済本部》

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