経済くりっぷ No.10 (2002年12月10日)

11月25日/日本・香港経済委員会(委員長 兼子 勲氏)

東アジアでの新たなる日港企業協力に向けて

−第25回日本・香港経済合同委員会を開催


日本・香港経済委員会は、香港・日本経済委員会との間で11月25日、第25回合同委員会を東京・経団連会館にて開催した。日本側からは、兼子委員長はじめ約70名、香港側からはレイモンド・チン委員長はじめ約40名が参加し、中国のWTO加盟、東アジアにおける経済統合が日港企業に及ぼす影響を中心に意見交換した。また、当日は、奥田日本経団連会長とドナルド・ツァン香港特別行政区政務長官による講演も行われた。

I.奥田会長講演要旨
  〜日本経済と東アジアの経済連携〜

  1. 日港双方とも通商拡大を軸として歴史上まれにみる高度成長を遂げたが、現在、生き残りをかけた構造改革を迫られている。

  2. 日本経団連は、新たな日本を切り拓く制度改革やアジア諸国との真のパートナーシップ構築、ASEAN+3に香港などを加えた経済連携強化に向け努力したい。

II.ツァン長官講演要旨
  〜WTO加盟後の日港経済関係〜

香港の強みは、近代的な港湾設備や空港など世界一流のインフラによる輸送ハブ機能、中国での事業展開に必要な金融法律関連サービス、低い法人所得税率などである。
さらに、成長著しい珠江デルタでのビジネス経験も豊富であることから、日本企業には、こうした香港のメリットを充分に活用してもらいたい。

III.香港側発言要旨

1.香港と中国の経済関係

  1. 中国の最も重要な製造拠点である珠江デルタ地域と香港とは、補完関係にあり、今後、一層の連携強化を図っていきたい。また、香港は上海と比較されることが多いが、上海がビジネスセンター機能を備えるには、まだ5年から10年はかかるだろう。

  2. 香港は、長年にわたって中国本土に投資してきた経験から中国とのビジネスに関して多くの知見を有している。香港をビジネス・センターとして、日本企業(特に中小企業)と香港企業とが戦略的パートナーシップを組むことで、両者は中国市場でのオペレーションをスムーズに推進できる。例えば、北京オリンピックに向けたインフラ整備や西部大開発などでの協力も有望である。

2.東アジア経済連携

  1. 香港は中国と経済的に一体となるべきである。現在、中国との間では、自由貿易協定に準ずる相互自由貿易に関するパートナーシップ(CEPA:Close Economic Partnership Arrangement)が協議されており、合意されれば、香港がASEAN+3の枠組みに入る可能性は高い。また、今後の東アジアにおける経済連携のモデルのひとつともなりうる。このほか、日本、韓国との間でも経済連携も進めていきたい。

  2. 中国とアセアンとのFTAは政治的な動機が強い。また、香港、台湾は政治的にセンシティブであり、経済的な観点から、経済連携のあり方を検討すべきである。

《担当:国際協力本部》

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