経済くりっぷ No.10 (2002年12月10日)

11月13日/アジア・大洋州地域委員会(共同委員長 茂木友三郎氏)

日・ASEAN首脳会議の模様と今後の対応について


アジア・大洋州地域委員会では、外務省の田中均アジア大洋州局長、経済産業省の鷲見良彦通商政策局審議官(地域協力担当)、佐伯英隆経済産業研究所上席研究員(前経済産業省通商政策局審議官)より、11月5日にカンボジアで開催された日・ASEAN首脳会議の模様と今後の対応について説明をきくとともに、意見交換した。

I.田中局長説明要旨

  1. 11月5日の日・ASEAN首脳会議において、

    1. 「日・ASEAN包括的経済連携構想に関する首脳達の共同宣言」に署名したほか、
    2. 2003年1月より日・ASEAN交流年の開始(実行委員長:奥田日本経団連会長)、
    3. 日・ASEAN特別首脳会議の2003年12月の日本での開催、
    4. 教育人材育成分野での協力、
    5. 国境を越える問題を含めた安全保障面での協力、
    6. 東アジア開発イニシアティブ(IDEA)のフォロー、
    について合意した。

  2. 「日・ASEAN包括的経済連携構想に関する首脳達の共同宣言」において、

    1. 日本とASEAN全体との間の包括的経済連携の枠組みを検討する一方で、すでに準備が出来ている国とは二国間の経済連携を進める、
    2. 日本とASEANの高級実務者で構成される委員会を設置して包括的経済連携を実施するための枠組みを検討し、2003年の首脳会議に報告書を提出する、
    3. 各国の経済水準やセンシティブな部門を考慮に入れて、FTAの要素を含む連携を10年以内のできるだけ早期に完了する、
    4. 貿易・投資の自由化のみならず、税関手続きや基準認証、貿易・投資の促進・円滑化措置、金融サービス、情報通信技術、科学技術、人材育成、中小企業、観光運輸、エネルギー、食料安全保障等その他の分野における協力を含む広範囲にわたる経済連携を模索する、
    ことで合意した。

  3. 日本はASEAN全体との経済連携を推進することに加え、ASEAN5との経済連携を早期に完成させることが重要である。シンガポールとはすでに経済連携協定を締結済みであり、現在、タイ、フィリピンとは作業部会で協議を行っている。対象分野も可能な限り包括的なものとし、できるだけ深堀りして進めていきたい。

II.鷲見審議官、佐伯上席研究員説明要旨

  1. ASEAN全体と二国間の経済連携の関係のイメージとしては、ASEAN全体との協定は最大公約数となる部分や多国間固有の部分について定め、二国間の協定でより広範な分野やASEAN全体との協定で定めている分野をより深くして定める。また、二国間で先行した取組みのうち、ASEAN全体で取り組むことのできる部分をASEAN全体との協定に盛り込み、拡充させていきたい。

  2. 中国とASEANのFTAに関する動向は、地域の安定に寄与するものと評価している。日・ASEANのプロセスに比べ、1年先行する形となっているが、そのこと自体は問題ではなく、今後の進展を見守っていきたい。

《担当:国際協力本部》

くりっぷ No.10 目次日本語のホームページ