経済くりっぷ No.11 (2002年12月24日)

11月28日/日墨協定に関する懇談会(座長 上原尚剛氏)

日墨自由貿易協定に向けて第1回の政府間交渉が始まる


日本メキシコ経済委員会の「日墨協定に関する懇談会」では、11月28日に、関係各省の担当官を招き、11月18日、19日の両日、東京で行われた、日墨経済連携強化のための協定第1回本交渉の模様をきくとともに、意見交換をした。以下は説明要旨である。

I.外務省 渡邉中南米第一課地域調整官

APEC会合後、10月27日の小泉総理大臣とフォックス大統領の日墨首脳会談で、日墨自由貿易協定の交渉開始が正式に合意され、11月18日に第1回本交渉を開催した。今回の交渉のポイントは、両国首脳の合意に基づき、交渉が開始されたこと自体の意義である。また、今後の交渉の体制を大筋で合意したことも重要である。今後は、3ヵ月に1回の本交渉のほか、毎月開催する非公式準備会合で協定の具体的内容を検討する。非公式会合においては、分野ごとの専門家会合も開催し、効率的に話を詰める。協定の中身は、7月に出た研究会報告書の内容に沿うことも確認した。

II.財務省 片山関税企画官

本交渉開始は、各企業の声が両国政府を動かした結果である。メキシコはすでに14のFTAを締結している。日本はシンガポールに次ぐ2つ目の協定協議である。シンガポールはもともと無税品の割合が高く、今回が日本にとって初めての本格的な交渉となる。双方で種々データを交換したが、メキシコ側は日本側よりデータの電算化が進んでいたのが印象的であった。原産地規則については、関税分類変更基準を適用することで原則合意している。

III.経済産業省 河合中南米室長

NAFTAや対EUなどメキシコ側のFTAの経験豊富さを感じさせる交渉であった。今後はこれまで以上に、経済界のバックアップが重要である。具体的な問題点など、情報をいただき、交渉に活かしたい。私もオブザーブ参加した10月30日の第25回日本メキシコ経済協議会では、日墨FTAの1年以内での締結が決議され、メキシコのビジネス環境の整備についても議題に取り上げられた。今回の交渉では、この協議会の模様もメキシコ側に伝えた。

IV.農林水産省 鋤柄国際調整課長補佐

農水省は、共同研究会、交渉を通して、日本側共同議長として、積極的に参加している。FTA交渉の内容から農業分野を除外することは全く考えていない。しかし、協定合意には双方が満足することが重要であり、農水省としても、何ができるか今後考えていきたい。メキシコから日本への輸出品のうち20%は農産品であり、うち半分は豚肉である。メキシコも、実は国全体でみると、農産品輸入国である。双方にとって良い結論を目指したい。一方、日本からメキシコへの農産品輸出も重要と考える。企業関係者からのアドバイスを期待している。官民一体で交渉を進める中で、国全体としてプラスとなる協定の実現を願っている。

《担当:国際協力本部》

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