経済くりっぷ No.11 (2002年12月24日)

12月10日/アメリカ委員会(司会 本田敬吉企画部会長)

日米間で包括的な経済連携協定の締結が求められる


アメリカ委員会では、Fauver Associates, LLCのロバート・ファウバー代表(元米国国務省経済問題担当次官)を招き、今後の日米経済関係のあり方などについて話をきくとともに懇談した。

○ ファウバー氏説明要旨

1.日本経済の現状

日本経済は、10年間停滞を続けているが、その主な要因は、過度に悲観的な将来に対する見方である。不安を抱える消費者の資産は貯蓄に向かい、企業の新規投資も海外に向かっている。この状況を根本的に改善させるためには、日本国内の改革を促す何らかのショックが必要となる。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、日米両国で貿易と国際収支の調整の上で障壁となっている構造問題を識別し、解決することを目的に、構造問題協議(SII)が実施された。これにより、両国で多岐に渡る内容の障壁が指摘され、日本国内の改革にも繋がった。
このような取組みは、日米間で「枠組み合意」「成長のためのパートナーシップ」等、それ以降も続いているが、今日、日本の消費者や企業の将来に対する期待を向上させるためには、交渉の結果を担保し、両国経済の統合を進める法的拘束力のある協定の締結に繋げることが求められる。

2.CEPA締結の提案

日本経済が今日の停滞状況から脱却するためにも、日米間で包括的経済連携協定(Comprehensive Economic Partnership Agreement:CEPA)を締結することを提案したい。CEPAは、北米自由貿易地域(NAFTA)のモデルに沿ったものとし、将来的には北米市場と日本市場の統合を果たすことが求められる。
なお、これまでの交渉を通じて、日米間の関税・非関税障壁は、一部の例外を除いて、以前と比較して少なくなっており、残存する障壁を撤廃しただけでは日本経済の改革には繋がらない。そのためCEPAでは、NAFTAの対象分野に留まらず、新たな分野も組み込むことが重要である。対象分野として考えられるものには、金融、M&A、会計基準、コーポレート・ガバナンス、電気通信、製品の試験結果および基準・認証の相互承認、競争政策、土地利用政策、IT等がある。
CEPAの締結により、日本国内の競争が活発化し、財・サービスの価格が低下する。そのため、収入が増加せずとも購買力が向上し、国内消費が刺激される。この過程で雇用も創出され、日本の若年層の将来不安を取り除くこともできる。そして、活発化した競争社会に適応できる企業の収益力および国際競争力は向上し、その結果、日本経済の回復にも繋がる。

《担当:国際協力本部》

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