経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

奥田会長の発言から


12月4日(水) 北海道新聞とのインタビュー

ロシアは魅力ある将来の市場

「トヨタでは、現在、東欧で自動車の生産を行っており、ヨーロッパの市場がロシアまで拡大すると、2,000万台から3,000万台規模の市場になります。ロシアを将来の有望な市場と考えていますが、その市場で成功するためには、種を播き、常にアイディアを腹に入れておき、チャンスがきたらうまくつかまえなくてはなりません。
ロシアは、軍事や科学技術で大国であったわけで、人材が海外へ流出したとはいえ、潜在的な可能性は高いものがあります。共産党の支配が長く、資本主義が根付かないという学者もいますが、そのような見方も改める必要がありそうです。また、石油、ガス、レアメタルなどの豊富な資源があり、資源開発でも協力し、日本としてもロシアの資源を活用することを考えるべきです。
プーチン大統領は感じもよく、外交交渉も巧みなので、長期の政権になると思います。私としては、個人、あるいは日本経団連として、ロシアを訪問してみたいと思います。」


12月9日(月) 第30回東亜経済人会議記念講演会での質疑応答

中国とのビジネスは長期的な視野で

「中国と商売をする時には、10年程度で利益をあげようとするのではなく、100年を一つの期間として仕事をするように、私は社員に言っています。100年の間には、政治的・経済的に大きな変化や紆余曲折がありますが、その度に中国からの撤退を考えていては、中国との仕事はできません。
中国の安い人件費は、その巨大な市場とともに魅力があります。13億の人口を背景に、そのような労働力が無尽蔵にあることを考えると、台湾や韓国のように経済発展とともに急速に賃金が上昇することは考えられません。日本の企業にとり、生産基地としての魅力は衰えません。もちろん、将来、どのような政治的混迷があるかどうか、予想はできません。しかし、そこで撤退する必要はなく、今の世代でできなければ、次の世代で達成すれば良いと思います。」


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