経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)
12月17日/情報通信委員会通信・放送政策部会報告
携帯電話や無線LANやICタグをはじめ、電波は今や国民生活や産業活動に不可欠なものとなっており、高度情報通信ネットワーク社会を実現する上でも、重要な資源の一つに位置づけられている。そこで、情報通信委員会通信・放送政策部会(部会長:潮田壽彌氏)では、近年需要が急速に拡大している電波の有効利用政策のあり方について検討し、報告を取りまとめた。以下はその概要である。
電波の有効利用に向けて(概要)
はじめに
- 電波利用の拡大・高度化等により、電波は国民生活・産業活動に不可欠な基盤を形成。
- いつでも、どこでも必要な情報に容易にアクセスできる社会を実現する上で、電波は最重要資源の一つ。
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- 電波政策が国民生活・産業活動に与える影響大。
- 透明性、客観性、納得性の高い電波政策が必要。
- 特に有効利用政策が重要。
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1.電波利用の現状と課題
(1) 利用効率の向上
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有効利用は全ての電波利用者の責務だが、利用実態は把握されていないのが現状。
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- 利用実態の把握と電波の分配・割当への迅速、的確な反映。有効利用技術の開発・導入の推進と政策への反映。
(2) 新規需要への対応
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電波利用が高度化・多様化。特に都市部の特定の周波数帯で新規需要が増大。
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- 新規需要への迅速、的確な対応。有効利用のインセンティブが働くような環境の整備。
2.電波有効利用政策の基本的視点
- 利用効率が低いと評価された無線局の実態の公表、利用効率向上の促進。
- 利用効率が高いと評価された無線局の一層の有効利用促進に向けた制度の見直し。
- 新たに利用可能となった電波の経済の活性化に資する使途への割当。
- 緩やかな制約の中での革新的な無線技術の実用化。
3.電波の有効利用に向けた施策
(1) 直ちに実行すべき施策
- 利用状況の調査・評価・公表
- 国や地公体が運用する無線局を含め例外なく実施。その結果の評価は公表を原則。
- 有効利用程度の評価はパブリックコメントなど、公正・透明な手続を経て確定。
- 周波数割当計画の変更に際し、出来る限り共用の可能性を追求。
- 「公務用」への割当の見直し
- 国や地公体が運用する無線局については、他の伝送手段への代替可能性や民間サービスへの委託可能性を精査し、真に必要なものに限定。
- 用途毎に細分化された周波数を「地方公共団体用」として統合。
- 分配・割当プロセスの改善
- 国内の電波利用ニーズの国際分配への反映。標準化団体への働きかけ。
- 国内分配の国際的整合性確保。利用目的や技術基準、免許方式の早期決定・公表。
- 技術基準適合証明制度の改善
- 自己適合宣言方式の早期導入。
- 対象から除外する場合の客観的データの提示。
(2) 制度等の見直し
- 免許方式
- 消費者へのサービス提供を目的とする無線局で電波を専用する形態に新たに割当てる場合には、市場原理を取り入れた免許方式が適当。
- オークション方式は賛否両論あり、中長期的な課題として検討。当面は「市場原理活用型比較審査方式」による対応が妥当。
- 電波利用料制度
- 受益と負担のアンバランスを解消する観点から、無線局数を基に料額を算定するのは、電波監視施設および総合無線局監理システムの整備・運用、技術試験事務の実施などの使途に関わる費用とするのが適当。
- 再配分に要する補償費用などについては、電波利用から得た収入、使用帯域幅、空中線電力などを基に料額を算定する方法等が考えられるが、さらに検討。
- 再配分制度
- 公正・透明な手続により、再配分計画を策定。
- 免許不要局に対し再配分した場合に、既存免許人への補償費用について、免許不要局に一定の負担を求めることには、慎重な対応が必要。
- 審査基準等
- 用途制限を緩和し、免許人に一定の利用の自由を付与。
- 地域免許の検討。
《担当:産業本部》
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