経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

12月16日/防災に関する特別懇談会(座長 樋口公啓氏)

防災対策に関する政府の取組みと企業への期待

−鴻池防災担当大臣よりきく


日本経団連は、巨大災害発生時に企業が果たすべき役割について検討を行うことを目的に、防災に関する特別懇談会(座長:樋口副会長・東京海上火災保険会長)を設置した。12月16日に開催した第1回会合には、鴻池祥肇防災担当大臣と山本繁太郎内閣府政策統括官を招き、防災対策に関する政府の取組みと企業への期待について説明をきくとともに、意見交換を行った。

I.鴻池大臣挨拶要旨

阪神淡路大震災から8年たった。当時、神戸で地震が発生するとはだれも予期しなかった。活断層型の地震は、いつどこで発生してもおかしくない。1948年の福井地震以来8年前の震災までの約50年間、奇跡的に大震災は発生してこなかった。この間、地震の怖さを忘れていた。「治にいて乱を忘れず」である。災害に備えることは企業の当然のコストと認識して欲しい。

II.山本政策統括官説明要旨

国の防災対策の方針は、中央防災会議が決定する。同会議は、内閣総理大臣を会長とし、全閣僚が委員として参加する。この他、4つの指定公共機関(日赤、日銀、NHK、NTT)の長、学識経験者からなる。
災害発生時に行政が総合的に対応することを目的に、1961年に災害対策基本法が制定された。この法律では、災害に対する国、都道府県、市町村の責任を明確化し、防災会議や災害対策本部の設置、防災計画の策定、災害復興に対する財政援助などを規定している。
東海沖は、1854年の安政東海地震から約150年間大地震が発生していないことから、相当な歪みが蓄積しており、いつ大地震が発生してもおかしくない。今年、東海地震の想定震源域が見直され、対策強化地域が名古屋等にも拡大された。また、東南海・南海地震は、今世紀前半に発生することが懸念され、中部圏や近畿圏などにおける早急な防災対策の確立が必要である。この他、南関東地域直下の地震は、1894年以来発生しておらず、ある程度の切迫性を有している。防災拠点として、すでに立川に防災拠点が存在するが、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備を進めている。
防災基本計画における企業防災の位置付けは、

  1. 従業員、顧客の安全確保(避難経路の確保、従業員の安否確認方法の策定等)、
  2. 事業活動の維持と社会経済の安定(雇用の確保、生活必需品等のニーズへの対応等)、
  3. 地域防災活動への貢献(特に発災直後の地域防災に協力)、
の3点である。昨年実施した防災対策に関する企業アンケート結果では、具体的な被害イメージがつかみにくいこともあり、企業の防災対策は進んでいないことがわかった。民間の方でなにができるか検討していただき、官の方でやるべき点についての要請も出してもらい、災害発生時に、双方が有機的に連携できるよう備えたい。

《担当:社会本部》

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