経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

12月17日/国際協力委員会(共同委員長 西岡 喬氏)

ODAの現状と今後の課題

−外務省 古田経済協力局長よりきく


わが国ODAをとりまく環境は依然厳しい。国際協力委員会では、ODAの現状と今後の課題について、外務省の古田肇経済協力局長より説明をきいた。

○ 古田局長説明要旨

1.ODAをとりまく環境の変化

外務省経済協力局長に就任して3ヵ月が経過した。私自身、ODAに関わるのは3度目であるが、その度にとりまく環境が全く異なり、時代の変化を感じる。最初は1972〜73年で、黒字減らしの議論が盛んになるなか、ODA予算を急速に増加させた。2度目は1998〜99年で、アジア金融危機を受け、新宮澤構想、特別円借款等を実施し、各国から高い評価を得た。今回は、ODAに対する厳しい批判がある中での着任となった。

2.国内議論と国際的議論の差

現在、国内のODA議論と国際的なODA議論の間には、大きな相違がある。国内的には、透明性確保や効率性向上・国民参加の観点から、ODA改革を早急に進めるべきされ、予算もこの5年で22%も削減されている。一方、国際的には、グローバル化と貧困問題への取組みが議論されており、特に、9.11の米国同時多発テロを契機に、貧困がテロの温床となり得るとの認識が広まり、諸ドナー国は相次いでODA増額を表明した。例えば米国は、2006年までに援助額の50億ドル増、EUも同年までに70億ドル増を表明した。

3.ODA改革への取組み

外務省では、2002年7月の「ODA改革・15の具体策」および8月の外務省改革「行動計画」に沿って、ODA改革を進めている。12月10日には「ODA改革:三項目の実施について」を発表した。3項目の第1は、政府開発援助大綱(ODA大綱)の見直しである。ODA大綱は、ODA戦略の根幹をなすものであるが、策定後10年を経たことから、思い切った見直しを行う。2003年中頃を目途に、最終的な結論を得たい。第2は、円借款の債務救済方式の見直しである。日本の負担が増えるわけではないが、従来の債務救済無償の供与を廃し、債権放棄を実施する。第3は、無償資金協力実施適正会議の立ち上げである。専門家の知恵を借り、無償資金協力を適正で透明性の高いものにしたい。
その他、経済協力局をはじめとする外務省の組織・機構再編を2003年3月末を目途に結論を得ること、10月にJICAを独立行政法人国際協力機構とすることなど、今後もさまざまな改革が予定されている。また、12月には、自民党ODA改革ワーキング・チームの最終報告も取りまとめられた。

4.ODA総合戦略会議に経済界の声を

外務省は、2002年6月、川口大臣を議長とするODA総合戦略会議を立ち上げ、西岡共同委員長、宮原日本ベトナム経済委員長にもご参加いただき、ODA大綱見直しについての論点整理を行っている。大綱見直しの議論に当たっては、広く御意見を伺いたいと思っているので、日本経団連には、経済界の意見をぜひ取りまとめていただきたい。

《担当:国際協力本部》

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