経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

12月13日/教育問題委員会(共同委員長 樋口公啓氏、浜田広氏)

新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方

−文部科学省 御手洗文部科学審議官よりきく


教育問題委員会では、文部科学省の御手洗康 文部科学審議官を招き、現在中央教育審議会で行われている教育基本法改正をめぐる議論の模様などについて説明を伺うとともに、意見交換を行った。

○ 御手洗文部科学審議官説明要旨

1.教育基本法改正論議の経緯

教育基本法は、わが国の教育の基本理念と原則を定めることを目的に、1947年に制定された。以来、一度も改正されなかったが、2000年の教育改革国民会議報告で、教育基本法の見直しと教育振興基本計画の策定の必要性が提言され、中央教育審議会内で議論を重ねてきた。11月14日に取りまとめた中間報告では、21世紀のわが国の教育理念・制度を示すとともに、より実効性ある教育改革を推進するために、教育基本法の見直しと教育振興基本計画の策定が必要であるとしている。

2.中教審中間報告の概要

中間報告では、これからの教育は、21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すとし、新世紀にふさわしい教育理念ならびに原則として、

  1. 国民から信頼される学校教育の確立、
  2. 「知」の世紀をリードする大学改革の推進、
  3. 家庭の教育力の回復、学校・家庭・地域社会の連携・協力、
  4. 公共心、伝統や文化を尊重する態度、郷土や国を愛する心の涵養、
  5. 生涯学習社会の実現、
  6. 教育振興基本計画の策定、
の6つを盛り込む必要があると指摘している。

この方針に沿って、各条文の改正のあり方を議論している。見直しのポイントしては、

  1. 教育の基本理念として、男女共同参画社会の実現に寄与するという趣旨を新たに規定すること、
  2. 「家庭教育」に関わる規定を設け、家庭(保護者)の果たすべき役割や責任について規定すること、
  3. 国家、社会の形成に主体的にかかわっていく態度の育成について規定すること、
  4. 教育行政における国、地方公共団体の責務を新たに規定すること、
  5. 教育改革の長期的なプランである「教育振興基本計画」の策定根拠となる規定をおくこと、
等である。

議論が収斂していない部分は、

  1. 教育の目的として、今の教育基本法に謳われている「個人の尊厳」「心理と平和の希求」「人格の完成」に新たに追加すべき理念として、愛国心や郷土愛の醸成を盛り込むべきか否か、
  2. 「教育を受ける権利」あるいは「生涯にわたり学習する権利」を新たに規定するか否か、
  3. 学校教育の役割をどのように規定するか、
  4. 子どもが教員等の指導に従い、規律を守り、学習に取り組むことを盛り込むか否か、
  5. 「普遍的な宗教心」の教育や「宗教的情操の涵養」等について規定すべきか否か、
などの点である。

3.今後の予定

関係各方面からのヒアリングを経て年明けに最終報告を取りまとめ、これに基づき、次期通常国会に教育基本法の改正法案を上程する予定である。

《担当:社会本部》

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