経済くりっぷ No.12 (2003年1月14日)

12月11日/社会貢献推進委員会(委員長 武田國男氏)

企業とNPOの連携による地域社会の活性化


企業の社会貢献活動において地域社会での活動が活発化する中、地域における企業とNPOの協働の場づくりに、全国各地のNPO支援センターが大きな役割を果たすことが期待されている。そこで、せんだい・みやぎNPOセンターの加藤哲夫代表理事より、宮城県での実績を踏まえた説明をきいた。その後、2001年度社会貢献活動実績調査結果<PDF>を審議するとともに、今後の社会貢献活動の課題について懇談した。

○ 加藤代表理事説明要旨

1.NPO支援センターとは

せんだい・みやぎNPOセンター(以下、センター)は、全国各地に80ヵ所以上あるNPO支援センターの一つであり、1997年に純粋な民間の非営利組織として設立された。事業内容は、

  1. 市民の啓発、
  2. NPOの基盤強化のための研修やネットワーキング支援、情報提供、相談、
  3. 行政の政策づくりや市民参加事業に関する相談、職員研修、
  4. 企業の社会貢献活動に関する相談や企業人のソフトランディング支援、
等を通じて、地域の市民活動を促進することである。

2.企業との協働によるシステム構築

3年前から地元企業約40社と勉強会を重ねながら、NPOが必要とする物品、資金、人材などの経営資源を提供する「サポート資源提供システム」を構築してきた。その際、

  1. NPOのもたらす社会的価値がわからない、
  2. どのNPOを信用すればいいのか教えてほしい、
  3. 企業側のコストは増やしたくない、
という企業担当者の疑問や課題を一緒に解きながら進めてきた。その結果、支援先となるNPOの情報公開を進め、企業にフィードバックするための仕組みをつくり、出会いの場を設けることによって、相互の信頼関係を築いてきた。その結果2年間で、企業から400の中古什器・備品や100台以上のパソコンを50以上のNPOに提供するという実績ができた。

3.地域活性化のために必要な民間の連携

空き店舗やシャッターが下りた通り、居場所のない若者たちが、地方都市の風景となっている。年間3万人の自殺者と世界一勉強しない子どもたちを抱える日本では、子育て支援の予算が対GDP比0.03%と、EU各国の30分の1となっている。子育て環境が悪いために支払わねばならない社会的なコストも増大している。企業もまた社会に支えられており、企業が社会に投資しなければ、利益をあげる基盤そのものが根底から崩壊していく。
しかし、企業だけで提供できる価値や働く意味には限界がある。また、全国的な企業の支店単独では、人的、資金的負担が大きくなってしまう。そこで、NPO支援センターと複数企業の支店が連携して「企業市民活動推進センター」を設置し、情報を共有しながら社会貢献活動を推進することを提案したい。来年実験的な活動を行う予定であり、本社の側面支援もお願いしたい。川の上流における植樹によって海に豊かに牡蠣が戻ってきたように、人間が努力すれば、必ず活力ある地域づくりをすることができる。

《担当:社会本部》

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