経済くりっぷ No.13 (2003年1月28日)

12月24日/日本経団連評議員会

坂口 力 厚生労働大臣

来賓挨拶

2003年は年金改革と雇用の年

坂口 力 厚生労働大臣



厚生労働省の仕事は、間口が広く、雇用、年金、医療、介護などの問題を抱えている。今年一年間は、医療制度改革に焦点があたったが、通常国会を通過して、現在その抜本改革にとりかかっているところである。2003年3月までに各界の意見を聞きながらまとめ、一応決着させたいと思っている。4月からは保険料3割負担などをお願いしなければならないので、それまでに改革の姿を示したい。

一方、2003年には、年金の改革をお願いしなければならない。法案の提出は2004年の通常国会になるが、1年をかけて、いろいろ意見を聞きながら今後のあり方を探り、まとめたいと思っている。大きくわけて、現在の年金制度の延長線上でさまざまな改革を行っていくか、それとも年金の根幹に関わるところに手をつけるかを考えることが、大きな議論の第1歩である。先般、その両案を列挙して、厚生労働省の考え方として提示したところだが、来年の今ごろには法案をまとめたい。

年金と医療はともに大きな問題だが、いずれにしても高齢者や難病に苦しむ人、生活保護を受ける人、離婚して子どもを抱えて苦労している家庭の数が、みな増えている。今年も社会保障予算を3.8%増やしたが、全体の人数が増えているので、1人あたりでは厳しい内容になっている。これから先、金額もさることながら、いかに安心できる制度を構築するかが、重要になる。新しい時代にふさわしい枠組みをどう創るか、考えているところである。

雇用の問題については、皆様にいろいろなお願いをしなければならない。経済の動向とも大きく関係するので一朝一夕に解決することは期待できず、失業者が増えることは覚悟しておく必要がある。これまで経済成長率が1〜2%では雇用が増えることはなかった。今後、大きな経済成長があまり期待できず、長期的に厳しい経済状況が続く前提で、雇用の基本対策を立てていかねばならない。どういう方法をとれば最も対応しやすいか、皆様と相談しながら模索していきたい。

厚生労働大臣になってから、地域との連携にも取り組んでいる。いくら中央でものを言っても、地域によってはマッチしないところが出てくる。地域における雇用のミスマッチも多い。地域と連携した雇用対策を、できるだけ地域の人の理解を得て行いたい。民間とも共同してやっていけるよう改正案を出したい。


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