経済くりっぷ No.14 (2003年2月11日)

1月16日/中国委員会対中国通商問題ワーキング・グループ(座長 篠原 巌氏)

日本政府は中国に対してさらなる自由化を求めていく


中国委員会では、企画部会の下に「対中国通商問題ワーキング・グループ」を設置し、5月頃を目処に日中通商関係のあり方に関する提言を取りまとめるべく、検討を開始した。第1回会合では、経済産業省の塩田誠通商政策局北東アジア課長および佐藤達夫通商政策局公正貿易推進室長より、わが国の対中国通商政策の現状と展望ならびに中国のWTO加盟約束の遵守状況等について話をきくとともに懇談した。

I.塩田課長説明要旨

1.日中の貿易・投資関係

日中の貿易は過去10年で急速に拡大しており、両国の貿易量に占める割合も相当大きくなっている。日本から見ると、中国は輸出先、輸入先としてともに2位で合計2位、中国から見ると、日本は輸出先として実質2位(香港を除く)、輸入先として1位で合計1位である。
日本の対中直接投資も現在は第三次ブームの最中であり、着実に増えている。

2.日中の通商枠組み

中国がWTO加盟国になった今、WTOの枠組みが最も重要である。また、二国間協議の場として、日中次官級定期協議、昨年立ち上がった日中経済パートナーシップ協議、鉄鋼や化学分野における官民対話、日中農産物協議会等がある。両者の中間にAPEC、日中韓等の地域協力の枠組みもある。日中韓の自由貿易協定構想については、当面は研究を続けることとなっている。

3.中国経済の展望

中国は、昨年の共産党大会で2020年までに2000年比で、GDPを4倍、一人当たりGDPを900ドルから3,000ドルにという政策目標を掲げた。この実現には年平均7〜8%の経済成長が必要であり、中国は2008年の北京五輪、2010年の上海万博といった外生要因も活用していく。しかし、財政赤字、国有企業改革、不良債権、デフレ等の問題もあることに留意する必要がある。
他方、中国では、急速な経済成長の結果、沿岸部の上海等を中心に携帯電話、自動車、住宅等を購入するニューリッチ層が出現しており、消費財市場の拡大が予想される。

II.佐藤室長説明要旨

中国のWTO加盟約束の遵守状況について、日本は、欧米諸国と協力しながら、中国経過的審査メカニズム(TRM:Transitional Review Mechanism)を活用している。具体的には、昨年9月から12月にかけて約束分野ごとに理事会、委員会等で議論が行なわれた。日本からは、知的財産権の侵害、写真フィルム等の関税、自動車の輸入割当、電気機器の認証制度、鉄鋼セーフガード措置等について問題を提起した。
TRMは、加盟後8年続くこととなっており、本年も秋から会議が予定されている。

《担当:国際経済本部》

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