経済くりっぷ No.16 (2003年3月11日)

2月18日/鈴木環境大臣との懇談会

経済と環境の両立を目指し官民連携を


鈴木俊一 環境大臣をはじめ環境省幹部と、奥田会長以下、日本経団連の環境関係者との間で、今後の地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策のあり方をめぐり意見交換を行った。鈴木大臣からは、環境と経済の両立を目指し産業界と意見交換を密にしていきたいとの期待が示された。日本経団連側は、環境税、京都議定書、廃棄物処理法改正等について意見を述べ、産業界の努力を評価し、過剰な規制を課すことのないよう要望した。

I.鈴木大臣発言要旨

昨年9月に環境大臣に就任した際に、小泉総理から、環境と経済の両立を前提として環境政策を推進するようにとの指示を受けた。かつて公害問題が激しかった頃は、環境保全策は経済の足を引っ張るという考えが強かったが、今ではむしろ環境保全が新たな技術開発を促し経済発展につながる一面も出てきたように思う。今後はこれをさらに進め、経済発展を進めると必ず環境保全も進むようにしていかなければならないと考えている。そのために産業界と定期的な意見交換を行なっていきたい。

II.日本経団連側発言要旨

1.廃棄物処理法改正に対する懸念の払拭を
  (千速副会長)

廃棄物処理法の改正にあたり、法案に不法投棄の取締り強化、リサイクルの規制緩和が含まれていることは評価できるが、他方で有価物、適正処理困難物への規制強化が盛り込まれており、産業界に懸念が広がっている。現行法で十分問題に対応可能であり、規制強化は不要と考える。
産業界は環境自主行動計画に基づき産業廃棄物最終処分量の削減に努め、2001年度は1990年度比70%減と2005年度目標を2年連続前倒し達成した。

2.はじめに環境税ありきには疑問
  (山本環境安全共同委員長)

産業界は環境自主行動計画を実施し、2001年度のCO2排出量を1990年度比3.2%減とするなど着実に成果を上げている。こうした実績に鑑み規制的な温暖化対策措置の導入には反対である。環境省が2005年度からの環境税導入の準備を始めているようであるが、はじめに税ありきの議論には疑問を感じる。
京都議定書の目標達成には民生部門の対策が重要である。政府には国民に対する啓蒙に一層力を入れていただきたい。
また京都議定書に法的拘束力を持つ罰則を導入しないという政府の従来方針を、今後の国際交渉でも堅持していただきたい。

3.原子力の正当な位置付けが環境対策の柱
  (秋元資源・エネルギー対策委員長)

地球温暖化対策推進大綱は、原子力発電所13基新設を前提としており、この計画が崩れると大綱全体の実現可能性が狂いかねない。原子力の安全性の確保、適切な情報開示を前提として、国民の理解を得る努力を続ける必要がある。京都議定書の議論の中でも原子力の位置付けが歪められており、これを正当な位置付けに戻していくことが今後の環境対策の柱と考えている。

《担当:環境・技術本部》

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