2月25日/資源・エネルギー対策委員会(委員長 秋元勇巳氏)
エネルギーの特別会計の見直しや、エネルギー基本計画の策定など、本年はエネルギー政策にとって節目の年になると予想される。一方で、原子力を巡る諸問題、国際情勢など、エネルギーを取り巻く多くの課題も生じている。資源・エネルギー対策委員会では、資源エネルギー庁の岡本巖長官を招き、わが国のエネルギー政策の課題と対応の方向について説明をきいた。
イラク有事への対応は、IEAを軸とした国際協調、原油備蓄の柔軟な取り崩し等により、一応の対応の目途はある。一方、原発停止問題は、現状のままでは夏場の需要ピーク時に供給不足が生ずるおそれがあり、速やかな運転再開に向け努力する。
石油については、中東依存度が約9割にまで上昇していることから、供給源の分散化が戦略目標である。ロシアとの協力拡大、石油公団の資産活用、アジア諸国と協力した備蓄推進に取り組む。
天然ガスについては、ガス導管供給事業者に対する公益特権の付与等によるパイプライン整備の促進、燃料電池の技術開発等、燃料転換への支援を進める。
原子力については、東電問題、もんじゅ高裁判決等の懸念が生じているが、プルサーマルを含め推進の方針は不変である。立地地域を含め国民各層との対話を進めるほか、バックエンド等の課題については、議論の場を設け、平成16年度中に成案を出す。
引き続き、原子力の推進、省エネ事業者支援、新エネ開発、石炭利用技術開発等に取り組む。来年度からは、京都メカニズムを活用したCO2排出削減プロジェクトに対する補助を開始する。
小売自由化範囲の拡大により供給者間の競争を促すため、電力は17年度から50kW以上(小規模ビル程度)、ガスは19年度から10万m3以上(小規模工場程度)の需要家を自由化対象とする。その際、送配電網およびガス導管網を公共的なインフラと位置付け、利用ルールの整備、監視機関の設置、卸電力取引市場の創設等を実施する。
政府は、エネルギー基本法により策定が求められている「エネルギー基本計画」の検討に入っている。中長期的な検討も行う予定であり、燃料電池の本格的普及、宇宙太陽光発電、核融合等も検討課題となる可能性がある。