3月12日/第31回中国地方経済懇談会
日本経団連、中国経済連合会(中国経連)共催の標記懇談会が広島市において開催され、日本経団連側からは、奥田会長、岸・森下・西室・樋口・柴田の各副会長、高原評議員会副議長、前田政治・企業委員会共同委員長が出席し、地元経済人約240名の参加のもと、活発な意見交換が行われた。また、懇談会に先立ち、日本経団連側はタンカー専用のカーゴオイルポンプ製造で世界トップシェアを誇る株式会社シンコーを訪問し、ポンプ工場、タービン工場等を視察した。
中国地域の経済情勢は依然として厳しい状況である。中国経連が本年1月に行った景気動向アンケートにおいても、会員企業の9割近くが「景気が悪い」と回答している。また、イラク問題や北朝鮮問題など国際情勢の悪化による経済への影響も懸念される。政府には、経済活性化に資する取組みが求められ、税制面では、法人実効税率の引下げや思い切った投資減税など、法人税制のさらなる改正を要望していく。
このような状況のもと、中国経連では、地域産業の再生に向けた産学官連携の推進に取り組んでいるほか、三海二山交流圏構想(注)や個別の都市圏整備構想の実現、さらには、道州制を視野に入れた広域行政の検討など、地域特性を生かした個性的で魅力ある地域づくりを積極的に進めている。
- (注)
- 三海(日本海、瀬戸内海、太平洋)、二山(中国山地、四国山地)を東西、南北に結び、それぞれの地域資源を活かし、多様な交流、連携をすることによって、広域的な経済文化交流圏を構築するもの。
昨年2月の第1回中国地域産学官連携サミットにおいて策定した「産学官連携マスタープラン」のもと、新産業・新事業創出に向けた活動を推進している。昨年11月には第2回サミットを開催し、大学発ベンチャー創出の加速化と支援の強化をはじめとした「しまね宣言」を採択した。また、「産学官コラボレーション会議」や「コーディネート活動推進フォーラム」の開催を通じ、産学官の実務者等の連携強化を進めている。
さらに中国経連では、「産学官連携推進に関する企業自主行動計画指針(ボランタリープラン)」の策定や「キャンパス・ベンチャー・グランプリ」の開催、「産学官コラボレーションセンター」の開設(本年3月)など、「産学官連携マスタープラン」の実現に向けて積極的に取り組んでいる。
中国経連では、瀬戸内海地域の再生を重点課題として取組みを進めており、中国経連が事務局を務める「瀬戸内海交流圏研究会」を中心に、国土交通省の協力を得て「瀬戸内海地域の総合整備のあり方」に関する報告書を昨年取りまとめた。この報告書の中で策定が提案された瀬戸内海地域の将来ビジョンである「瀬戸内海創生構想」については、本年の夏ごろを目途に取りまとめる予定である。
また、その一環として、中国経連では、瀬戸内海の自然や歴史・文化を活用した「新たな交流の場づくり」として、
中国地域は分散型地域構造となっており、この特性を活かして地域を発展させる観点から、都市圏整備を進めている。その一環として、中国経連では、2000年度に「中国地域の都市整備のグランドデザイン」を取りまとめ、2001年度から具体的な個別都市圏に対する活性化方策を検討している。
2002年度には、岡山・倉敷都市圏について、二圏域の交流・連携により新産業創出など活力ある圏域造りを目指した「ツインシティーズ岡山・倉敷中枢拠点都市構想」を打ち出した。また、三次・庄原都市圏について、わが国有数の多自然居住地域のモデル地域を目指した「三次・庄原ガーデンシティ構想」を推進している。
自由討議において、以下のような意見が出された。
西室副会長より「社会保障制度改革への取組み」、岸副会長より「IT革命推進に向けた取組み」、前田共同委員長より「政治への取組み」について各々活動報告があった。また、自由討議に際し、柴田副会長より「産学官連携の推進ならびに地域の活性化」、西室副会長より「地方分権の推進」、森下副会長より「税制改革」、岸副会長より「地域の情報化」、樋口副会長より「人材育成」、高原副議長より「構造改革特区の推進」について各々発言があった。
最後に、奥田会長より、中国地域におけるさまざまな取組みを踏まえつつ、豊かな日本の創造と魅力ある地域の確立に向けて積極的に取り組んでいくとの総括があった。