経済くりっぷ No.19 (2003年4月22日)

奥田会長の発言から


3月27日(木) ゴー・チョクトン シンガポール首相との懇談会より

農業問題を克服し自由経済圏の拡大を

「日・シンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)が締結されたことをうれしく思います。早期締結できた背景には、農業などの問題が他国に比べ小さかったことがあります。韓国やメキシコとの自由貿易協定(FTA)の検討では、農業が一番大きな問題です。私は、できるだけ多くの国とのFTAを模索していくべきと小泉首相に常々申しあげていますが、いつも問題となるのは農業です。農業問題には実質的な問題と技術的な問題がありますが、解決のためには双方とも重要です。
東アジア自由経済圏構想については、日本経団連も日頃から取り組んでおり、東アジアとの自由貿易なしで日本の将来の成長はありえません。東アジアでは、今後は垂直的統合から水平統合が必要となります。また、中国が隣で大きな存在となり、また韓国も力をつけてきている中で、日中韓で友好的な政治経済関係をつくる必要があります。その場合でも、シンガポールには経済的にも政治的にも重要な役割を果たしてもらわなければなりません。」


4月7日(月) カイ ベトナム首相との懇談会より

人材こそベトナムの最大の魅力

「日本ではベトナム・ブームが起きており、特に優秀な人材が豊富であることが魅力です。春の高校野球でも、東洋大姫路高校のベトナム国籍のアン投手が活躍し、話題になりました。
日本からは30万人の観光客がベトナムを訪れていますが、それはいろいろな面で魅力があり、興味を引かれる国だからです。実際にベトナムを訪れた人の評判をきいてみても、多くの人がベトナム人の勤勉さに感心しています。トヨタ自動車でも、毎年、オーストラリアと米国の工場から、優秀な従業員を各10名ほど日本へ招待していますが、その半分以上がベトナム系です。
一方、日本では、最近、日本人の勤勉さが失われつつあります。ベトナムの若い人の目には輝きがありますが、日本の若い人にはそのような輝きがなくなっており、教育の建て直しをする必要を感じます。」


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