経済くりっぷ No.21 (2003年5月27日)

5月13日/日本経団連・日本商工会議所共同提言

若年者雇用問題に関する共同提言を発表


日本経団連と日本商工会議所は共同で、最近の若年者の失業やフリーターの著しい増加傾向を踏まえ、わが国の将来を担う人材育成の観点から、「若年者を中心とする雇用促進・人材育成に関する共同提言」を取りまとめ、5月13日に、奥田日本経団連会長と山口日本商工会議所会頭が平沼経済産業大臣に対して、共同提言を建議し、政府においても早急に、この問題に取り組むよう要請した。


日本経団連の奥田会長は、5月13日、日本商工会議所の山口信夫会頭とともに、平沼赳夫経済産業大臣と会談し、「若年者を中心とする雇用促進・人材育成に関する共同提言」を提出した。提言は、さる4月21日に同相から政策提言と経済界としての具体的な取組みを示すよう要請されたことを受け、日本経団連と日本商工会議所の共同で取りまとめたものである。

取りまとめの背景には、2002年の20歳から24歳の失業率は9.8%、大卒者の5人に1人が就職できず、フリーターも増加の一途をたどり、200万人に達しようとしているという状況がある。若年者の就業の機会が確保され、適切なキャリア形成がなされなければ、将来のわが国経済に重大な影響を及ぼすことになるという危機感から、共同提言は取りまとめられた。

共同提言では、従来の雇用保険制度の枠組みでは十分対応しきれていない若年者の失業に対して、雇用面からの対策だけでなく、将来のわが国を担う人材の育成という観点から、教育機関・企業・行政(国・地方公共団体)が一体となったトータルプラン策定の必要性を強調している。

そのため、地域ごとにきめ細かなカウンセリングや職業紹介、職業訓練等をワンストップで行う「キャリアセンター(仮称)」を地方公共団体や地方経済団体、学校、NPO等が協力して設置するとともに、ここで提供する人材サービスについては民間事業者に委託し、競争を通じて、事業の効率化、サービスの向上を図ることを提案している。

また、従来から取り組んでいるインターンシップやトライアル雇用の充実など官民が協力して推進すべき施策を盛り込んだほか、各地経営者協会や商工会議所が取り組むべき具体的な活動を明らかにしている。

なお、政府では、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、内閣府が連携して、近年急増している若年失業者やフリーターへの対応策を検討中であり、今回の経済界からの提案を踏まえて、若年層の総合的な雇用促進・人材育成策を取りまとめ、6月下旬の「骨太の方針第3弾」に盛り込む方向である。

以下は、共同提言の概念図である。

若年者を中心とする雇用促進・人材育成に関する共同提言(概念図) <PDF形式>

《担当:産業本部》

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