経済くりっぷ No.23 (2003年6月24日)

日本経団連第2回定時総会/来賓挨拶

わが国経済の活性化に向けて

塩川財務大臣

財務大臣 塩川正十郎


わが国経済は長い低迷の期間を経て、ようやく底を固めてきた感があるが、まだ先行きに不確定な要素が数多くあり、予断が許されない状況にある。ここにきて、企業間の業績の格差が徐々に開いてきているが、政府としては、日本経済全体が活性化するよう、鋭意努力してまいりたい。

当面の課題として、平成16年度の予算編成を控えているが、予算編成にあたっては、補助事業をはじめ、歳出全般にわたって一段と厳しく見直し、財政負担の増加を避けるべく、一層の経費削減に努めていく。

中長期な課題としては、次の3点がある。

第1は行政改革の推進である。とりわけ公社・公団等の特殊法人の改革を進めていく上で重点的に取り扱うべき課題として、特別会計の問題がある。実際には来年度以降の取組みとなるが、特別会計の実態を正確に捕捉して、経済的合理性に基づく、透明なものにしていく必要がある。

第2は社会保障制度を中心とした財政の見直しである。とりわけ焦点となる医療と年金の問題については、給付と負担の関係等、制度の根本まで遡って考え直さなければならない。医療については、サービスの多様化や高齢化に伴い、負担のあり方を変えていく必要がある一方、年金については、高度経済成長を前提に設計された現在の各種制度を、少子高齢化に対応できる制度に変更していかなければならない。

第3は、国と地方の関係である。現在、小泉総理の下で進められている地方分権の基本的な考え方は、国の仕事(権限)を地方に移すとともに、それに相当する行政経費を賄うための財源も移すということである。現在、地方分権改革推進会議で議論いただいているが、その趣旨に沿った形で改革を進めていきたい。

このように政府としては、国の仕組み、経済のあり方など、構造改革を進め、わが国の繁栄の基盤をつくってまいりたいと考えており、日本経団連においても引き続き支援をお願いしたい。


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