経済くりっぷ No.23 (2003年6月24日)

日本経団連第2回定時総会/来賓挨拶

構造改革の一層の推進

竹中金融担当・経済財政政策担当大臣

金融担当・経済財政政策担当大臣 竹中平蔵


わが国が当面する課題の第1はマクロ経済の運営である。景気の問題についてはさまざまな意見もあるが、海外の専門家の間では、わが国が抱えている巨額の財政赤字を放置したままで、財政をさらに拡大させるというリスクを非常に懸念している。わが国経済が将来に向かって責任ある体制をとるためには、少なくとも10年程度を目途に財政の基礎収支を均衡させていく必要がある。このような非常に厳しい制約の中でマクロ経済を運営していかなければならないという点を理解いただきたい。

平成14年度を振り返ると、当初、政府経済見通しはゼロ%成長であり、甘いのではないかとの見方もあったが、結果としてプラス1.6%となった。現在の日本経済の状況を考えれば、満足できる数値ではないものの健闘しているといえる。しかしながら、名目成長率はマイナス成長となった。これは実体経済は成長しているが、デフレは予想以上に厳しいということを意味している。デフレの克服に向け、政府・日銀一体となって、さらに邁進していきたい。

第2は金融の改革である。あと2年ぐらいで不良債権比率を半分にして、わが国経済の健全化を図っていきたい。その過程で資本不足が生じた場合には、既存の枠組みの中で、臆することなく果敢に必要な措置を講じていきたい。先般主要銀行の決算が出揃ったが、不良債権の比率が7%強に低下していた。これは各銀行の努力の結果であり、この半年間に予定通りの成果が上がったと考える。これを継続して2年後には不良債権比率半減の目標を達成したい。

第3は予算制度の見直しである。とりわけ国と地方の関係は、明治時代にわが国が中央集権国家を目指して以来の大仕事であり、小泉総理が強い信念を持って取り組んでいる課題である。来月末にはいわゆる骨太改革の第3弾を決定しなければならないが、国と地方の新しい体制作りに向けて引き続き全力で取り組んでまいりたい。

最後に、日本経団連には、これまで同様わが国経済のフロントランナーとして、その牽引役を期待したい。


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