経済くりっぷ No.24 (2003年7月8日)

雇用委員会

労働者派遣法と職業安定法の改正について


2002年8月30日より厚生労働省の審議会(労働政策審議会・職業安定分科会民間労働力需給制度部会)で本格的な審議が行われてきた「労働者派遣法」と「職業安定法」の改正法が、今年6月6日に国会で成立し13日に公布された。これまで日本経団連は、雇用委員会(委員長:大國昌彦氏)および雇用政策検討部会(部会長:安堂 誠氏)を開催し内容の検討を進めるほか、企業・団体会員に実施したアンケート等を踏まえ、同審議会において経済界の主張を続けてきた(図表中「日本経団連意見」参照)。今後は、法律の施行に向け政省令や指針について審議が行われ、遅くとも2004年3月には改正法が施行される予定である。

I.「労働者派遣法」の改正の主な内容

1.派遣期間制限の変更

1999年の法改正で解禁された自由化業務の派遣期間は、1年から最長3年まで延長される。ただし、1年を超える派遣契約を結ぶ際にはあらかじめ期間を定め、派遣先労働者の過半数代表者へ通知し、意見聴取をすることが義務付けられる。
また、行政指導により派遣期間を3年とされていた専門的26業務の派遣期間は無制限となる。ただし、同一の派遣労働者を3年以上使用した後、同一業務の増員を目的に労働者を直接雇い入れようとする場合は、この派遣労働者に対して優先的に直接雇用の申し込みをしなければならない。

2.製造業務に関する労働者派遣事業の解禁

派遣対象業務として製造業務が認められる。ただし、法施行後3年間は派遣可能期間は最長1年となる。

3.紹介予定派遣時の派遣労働者特定行為の解禁

派遣先企業が派遣受け入れに先立ち派遣労働者を事前面接することや履歴書送付等を求めること(派遣労働者の特定行為)が紹介予定派遣に限り解禁される。

4.その他

派遣事業許可は、事業所単位から法人単位となり、事業所の設置が迅速に行えることとなる。

II.「職業安定法」の改正の主な内容

1.有料職業紹介事業の兼業規制廃止

これまで禁止されていた料理店、飲食店、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業と有料職業紹介業の兼業が解禁となり、有料職業紹介業の兼業規制が全廃された。

2.その他

職業紹介事業の事業許可も法人単位となる。また、商工会議所や農協等の特別な法律で定められた団体が団体構成員を対象として行う無料職業紹介業は届出により可能となる。

III.労働者派遣法、職業安定法改正の今後について

今回の改正にあたり、衆参両院で権限濫用の抑制や問題の事前防止、責任所在の明確化を求める附帯決議が採択されており、今秋以降に厚生労働省の審議会(労働政策審議会・職業安定分科会民間労働力需給制度部会)が再開され、施行に向けての政省令、指針の検討がされる予定。なお、施行日は公布の日から9ヵ月を超えない範囲内において政令で定める日とされており、遅くとも2004年3月までには施行されることとなる。

労働者派遣法と職業安定法の主な改正内容

《担当:労働政策本部》

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