経済くりっぷ No.24 (2003年7月8日)

6月16日/アメリカ委員会(司会 本田敬吉 企画部会長)

イラク戦争後のブッシュ政権と今後の日米の関係


アメリカ委員会では、経済産業省通商政策局の西山英彦 米州課長を招き、最近の日米経済関係について説明をきくとともに意見交換した。

○ 西山課長説明要旨

1.ブッシュ政権の近況

イラク戦争開始後は70%前後まで上昇したブッシュ大統領の支持率は、徐々に下降し、現在は64%まで落ちている。当面の政権の課題は経済面では減税パッケージをできるだけ大規模で成立させること(5月28日に3,500億ドル規模で成立)、政治面ではイラクの統治・経済復興に万全を期することである。

2.米国経済の現状と見通し

米国企業を取り巻く環境改善を指摘する向きは増えているものの、雇用情勢、企業心理の好転はなお遅れている。このため、従来より、今年後半からの景気回復を予想する見方が一般的となっているが、その回復力の強さについては意見がなお分かれる。
好転材料としては金融環境の改善、石油価格の下落、ドル安、短期的な景気刺激効果の見込まれる減税パッケージの成立、消費者心理の改善、堅調な住宅投資等が指摘される。他方、厳しい雇用情勢(2003年5月の失業率6.1%)、企業家心理好転の遅れ、設備稼働率の低さ(74.4%、1983年6月以来の低水準)、地方自治体の財政悪化等の懸念材料もある。
しかし全体的には、イラク戦争前に比べ、米国企業を巡る環境が改善したことは明らかである。大型減税の実施により、今年後半には景気回復への流れが一層明確なものとなるという予想が一般的である。

3.成長のための日米経済パートナーシップ

より協調的な日米経済関係を目指し、日米間では2001年6月より「成長のための日米経済パートナーシップ」の下でさまざまな取組みが進められている。
「投資イニシアティブ」では、民間の専門家の意見もききつつ、日米双方の投資環境整備に関する議論を重ね、5月の首脳会談に先立ち報告書が作成された。
日米両国は相互に外国直接投資の主要相手国だが、対米投資に比し、対日投資は少ない。また、日米間の投資総額も、米EU間のそれに比べて小規模である。(米EU間投資残高総額:日米間投資残高総額=6.5:1 )
報告書では、小泉総理の「対日投資残高を5年で倍増する」との表明を受けて、日本で対日投資促進に向けた気運が高まりつつあることや、日米双方からの相手国に対する投資環境整備に関する要望についての議論の結果を紹介している。また、外国直接投資に対する両国民の認識を改善するため日米両国でセミナー、シンポジウムを開催することになった。6月末にはシカゴ、およびサンフランシスコで対日投資環境整備の進展状況等について、米国企業・投資家に説明する対日投資シンポジウムが開かれる。

《担当:国際経済本部》

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