7月18日/アメリカ委員会(司会 本田敬吉 企画部会長)
アメリカ委員会ではピーター・グラウアー ブルームバーグL.P.会長を招き、米国におけるコーポレート・ガバナンスの動向や米国企業の取り組みについて話をきくとともに懇談した。
1990年代後半以降、米国ではチェック・アンド・バランス機能や社外取締役による独立したチェック機能が働かず、立法の規制も不十分であった。それ故、エンロンやワールドコムなどの会計不祥事が連続して起きる事態を招き、それらの事件において取締役は義務を果たせなかったのである。そして、面子を失った米国企業の取締役はこれを契機に倫理基準を高め、財務報告を強化すべきであると考えた。
しかし、米国では一度振り子が端まで触れると、次には反対側の端まで極端に振れる傾向がある。1990年代はドット・コムのブームもあり、企業倫理に関する振り子は大衆の視界の外にまで振れていたものが、スキャンダルが露呈すると、一瞬にして国民の注目はコーポレート・ガバナンスに移り、企業改革法などが導入された。これに伴い、企業統治、倫理、説明責任に関して新しく高いハードルが設けられたことは、米国をはじめ、世界の機関投資家にとっては良いことだった。
企業がさまざまな規制を遵守するのは当然であり、今回の改正で上場企業の取締役の責任が大きく変化した訳では無い。取締役の責任とは、企業内の動きに精通すること、企業活動の報告を受けること、忠実に門番的役割を果たすこと、長期的な株主の利害を守ること、規制を守ること、顧客をはじめとする全国民に対する責任を果たすことである。大変な義務ではあるが、実行可能である。
さらに良い取締役には、常識が必要であり、現実的な行動が求められる。時には懐疑心を持ち、厳しい質問もできる人物がよい。
取締役会には、さらに、