経済くりっぷ No.26 (2003年8月12日)

7月22日/日本・香港経済委員会2003年度総会(委員長 兼子 勲氏)

CEPA(中国・香港経済・貿易緊密化協定)締結、香港の新たなるビジネス・チャンス


日本・香港経済委員会では、2003年度総会を開催し、2002年度事業報告・収支決算、2003年度事業計画・収支予算を原案通り承認した。当日は、審議に先立ち、香港貿易発展局(TDC)のラルフ・チャウ首席駐日代表から「香港経済の展望と日中港新時代への抱負」について説明をきいた。

○ ラルフ・チャウ首席駐日代表説明要旨

  1. 中国・香港経済・貿易緊密化協定(CEPA:Closer Economic Pertnership Arrangement)は、世界でも屈指の自由経済体制を維持してきた香港をさらに魅力ある投資先として位置づけることになる。CEPAは、来年1月1日に発効する。第一段階として電気製品、繊維、精密機械等273項目に係わる関税撤廃が実施され、その後、2,000項目の追加撤廃が実施される。現在の中国の関税率10〜35%が完全撤廃されることは日中港貿易にとって画期的なことである。また、中国大陸と香港との貿易円滑化に加え、金融、不動産等17種のサービス分野での大陸市場・香港間の再活性化が期待されている(特に法律および会計・監査サービス分野は有望で、同分野での大陸・香港間の法的垣根が排除されることで香港側がより良いサービスを進出企業に提供できる強みが出てくる)。東アジア経済全般もCEPA締結により改善され、労働集約型産業は大陸市場へ移動し、知識集約およびサービス産業、付加価値のある高級ブランド製品生産等は香港で行われるといった分業化が鮮明になっていくものと期待される。

  2. SARS問題については、5月20日末のWHO勧告により香港への渡航が可能になった。その後、香港での感染者がゼロとなり、SARS問題は完全に沈静化した。香港では国際的な信頼を回復するために、海外広報活動の強化および香港版の「国立疾病予防センター」の設置等を迅速に行った。また、今、香港に行って気づくことは、衛生管理状態が大きく改善されたことである。街にはゴミ一つなくなり、飲食店等では熱湯で皿洗いすることが義務付けられた。このように香港のSARS対策はかなり充実したものになってきているので、SARSの再燃が懸念される今年の冬も十分対応することが可能である。

  3. SARSの製造業への影響は少なかったが、旅行、サービス業、国際会議等への影響は大きかった。TDCでは、毎年4月に家庭用品の国際見本市を開催している。例年、5,000社が参加するが、今年はSARSの影響で400社に激減してしまった。そこで、今月、再度、同見本市を開催することとし、参加を促すために航空会社と協力して格安の旅行パックを用意したところ、反響が大きく完売した。また、空港の利用率も最盛期の80%強まで回復したほか、ホテルの稼働率も前年度比60%まで回復してきている。

《担当:国際経済本部》

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