経済くりっぷ No.28 (2003年9月23日)

7月31日/日本アルジェリア経済委員会2003年度総会(委員長 重久吉弘氏)

好調な石油輸出を背景に、着実に国内経済構造・財政改革を推進

−ベンジャマ駐日アルジェリア大使よりきく


日本アルジェリア経済委員会では、2003年度総会を開催し、2002年度事業報告・収支決算、2003年度事業計画・収支予算を、原案通り承認した。当日は、審議に先立ち、アマール・ベンジャマ駐日アルジェリア大使より、最近のアルジェリアの国内情勢と日本・アルジェリア経済関係の展望について説明をきいた。

○ ベンジャマ大使説明要旨

1.安定化した国内情勢

アルジェリアの政治・社会体制は急速に安定近代化し、懸念材料であったイスラム原理主義の影響はなくなった。来年4月に大統領選挙が予定されているが、民主主義が浸透し、どの候補の政策もあまり代わり映えがしない。治安も大都市部を中心に著しく改善され、テロは大きな政治社会問題として扱われなくなっている。これは、9.11米国同時多発テロ事件以降、欧米諸国および中東アラブ諸国からの支援の結果である。

2.好調な経済

アルジェリア経済は大変良好である。石油およびガスの増産、輸出増および国内経済の自由化推進により、経済成長率は5.2%となった。石油・ガスの好調により、対外貿易収支は、年間70億ドル増となった。本年第1四半期は35億ドルの黒字を計上した。外貨準備高は260億ドルで、10年前の8億ドルから飛躍的に改善された。アルジェリア政府は抜本的な経済構造改革を推進するとともに、緊縮財政を断行した。その結果、経済は回復基調となり、懸念されていたインフレ率は1.4%となり、国民の生活水準も向上してきている。なお、民営化計画の主柱である「炭化水素法案」については議会のコンセンサスが得られず、今年度は成立が見送りとなろう。

3.日本・アルジェリア経済協力の推進

日系企業のアルジェリアにおける事業展開を高く評価しているが、日本経済の規模からすると、まだまだ不十分である。今、アルジェリア政府は、「貧困撲滅」、「インフラ整備」、「失業率減少」を主目標に、「経済5ヵ年計画」を着実に推進してきている。同計画には、エネルギー(800メガワット級水力発電所建設プロジェクト等)、天然ガス・石化大型プラント(石化、化学肥料200億ドルの増資プロジェクト等)、高速道路(含BOT(Build Operate Transfer)プロジェクト)、上下水道、港湾施設整備(コンテナー化)等建設事業、通信(国際電話民営化に伴う通信インフラの整備)、金融関連設備等、魅力的な案件が多数含まれている。これらの案件への日本からの直接投資が増えることを期待している。現在、日本からの輸出規模は年間約3億ドル程度にすぎない。日本企業がアルジェリアへの支店設置などにより、対アルジェリア輸出を拡大することを期待している。

《担当:国際経済本部》

くりっぷ No.28 目次日本語のホームページ