9月4日/第51回北海道経済懇談会
日本経団連・北海道経済連合会(道経連)共催の標記懇談会が札幌市において開催された。地元経済人約160名の参加のもと、日本経団連側は奥田会長、槙原・千速・西室・樋口・御手洗・柴田・西岡の各副会長が出席し、活動報告ならびに意見交換を行った。
北海道での、企業倒産件数は小康状態にあるが、雇用情勢は依然深刻であり、さらに夏場の低温、台風10号の被害による農業への影響が懸念される。
こうした中、道経連では北海道の優位性や特色を生かしつつ、北海道経済の自主・自立の確立を目指し、産業クラスター創造活動や次世代型産業技術の創造に向けた取り組みを推進している。さらに海外からの観光客の増大等、観光産業の発展にも努めている。
また、物流コストの削減、冬の安全確保、地域間交流の活性化のため高速交通インフラの拡充整備が必要であり、ご理解、ご支援をお願いしたい。
北海道経済は依然として厳しい状況にあり、雇用創出プランの見直し、一村一雇用おこし事業の創設や企業再生ファンドの創設支援など雇用対策、中小企業対策を緊急優先課題として取り組んでいる。産学官の協力体制を強化し、北海道経済の再建に全力で取り組んでいきたい。
1998年から取り組んできた「産業クラスター創造活動」では28のプロジェクトが立ち上がり、45件の事業化が進んでいる。
また、次世代型産業技術については北海道に優位な条件がそろっているポストゲノム研究を最重点テーマに位置付け、本年4月には産学官の連携により「次世代ポストゲノム研究推進協議会」を立ち上げる等、プロジェクトの創出に努めている。
さらに、研究開発から事業化までを一貫して実現することにより、地域産業の活性化と新産業の創出を図るため、北大キャンパスならびにその周辺エリアに北大リサーチ&ビジネスパークを創設する構想を推進している。
北海道の産業構造を改善するためのみならず、防災の観点からも、高速交通体系の整備は不可欠である。また、中途半端な整備におわっているため高速道路の効果が生かされていない面がある。
北海道新幹線についても青函トンネル部分は新幹線規格でできており早期開業が待たれるが、特に東北地域とのネットワークが整備されることで大きな効果が期待できる。
さらに、新千歳空港は日本で欧米に一番近い北のゲートウェイであり、その活用を図る観点から一層の整備が必要である。
観光産業は北海道の基幹産業であり、北海道経済の活性化にとって重要である。
北海道では特に国際観光の振興に取り組んでおり、昨年度の外国人観光客は過去最高となった。中でもアジア地域からの観光客が外国人観光客全体の約90%を占めている。今後、中国などの新規需要の開拓、リピーター客の確保などが重要な課題であり、観光客の訪問エリアの広域・分散化の傾向に対応する観点から、全道の各空港における受入体制の充実が必要となっている。特にCIQ(税関・出入国管理・検疫)業務の体制充実など入国手続きの迅速化・円滑化対策の強化が求められる。
また、各空港と広域・分散化している各地の観光地とを結ぶ高速アクセス道路網の整備、観光地・観光施設等における全国統一の標準化された案内標識の充実等も進めていく必要がある。
自由討議において、地元側より以下の意見がだされた。
日本経団連側からは、御手洗副会長より「最近の会社法改正をめぐる動き」、樋口副会長より「災害に強い社会の構築に向けて」、柴田副会長より「最近のエネルギー政策をめぐる動向」について各々活動報告があった。
また、自由討議に際し、西岡副会長より「観光振興への取り組みと課題」と「高度情報通信ネットワークの整備促進」、西室副会長より「三位一体改革」、槙原副会長より「WTO農業交渉」、千速副会長より「産業廃棄物処理の現状と環境税への対応」について各々説明があった。
最後に、奥田会長より、北海道のさまざまな取り組みを踏まえつつ、民主導・自律型の経済社会の実現に向けて、積極的に取り組んでいくとの総括があった。