9月2日/環境安全委員会(委員長 秋草直之氏、共同委員長 山本一元氏)
本年6月11日に改正廃棄物処理法が成立したこと等を受けて、環境安全委員会では、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部の南川秀樹部長はじめ幹部を招き、「廃棄物問題への取り組み」について説明をきくとともに、意見交換を行った。併せて、温暖化対策税をめぐる動きや各部会の活動状況等について報告するとともに、廃棄物・環境保全分野ならびに危険物・防災・保安分野の2003年度規制改革要望案について審議を行った。
地方分権の流れの中にあって、廃棄物・リサイクル問題については、現在、さまざまな問題が生じていることから、国が、問題の根本的な解決に向けて、その責任を具体的に果たすことが求められている。具体的には、不法投棄や廃棄物を巡る紛争の発生、廃棄物処理施設等の施設立地の困難化という悪循環を断ち切るとともに、循環型社会構築に向けた施設整備政策を打ち出すことが必要である。また、最終処分場が極めて逼迫している現状(産業廃棄物については残余年数約3年、一般廃棄物については処分場が確保できない市町村が約400)を打破するため、広域的な最終処分場を確保するための政策を打ち出すことが必要である。
このような認識のもと、不法投棄の撲滅と安全な受け皿の確保のため、環境省は、具体的に下記の3つの施策に取り組む。
循環型社会の実現に向けたシステムの構築や社会資本整備を図り、廃棄物等の発生抑制および適正な循環的利用を促進するため、2004年度概算要求において、廃棄物・リサイクル対策関係予算として約1,818億円を要望した。
具体的には、エコ・コミュニティ事業の促進や循環基本計画に係る物質フロー会計の拡充といった循環型社会システムの構築、廃棄物処理・リサイクル施設の整備やエコタウン事業の推進、PCB廃棄物の処理体制の整備、市町村における浄化槽の整備強化、廃棄物処理技術の研究開発等の推進に取り組む。さらに、電子マニフェストの普及といった産業廃棄物の適正処理対策の強化や、不法投棄の未然防止と現状回復のための支援等を推進する。
2000年4月の地方税法改正により法定外目的税が創設されたことを受けて、三重県を皮切りに鳥取県や北九州市など、地方自治体では、相次いで産業廃棄物に係る法定外目的税の条例を制定している。このような状況を踏まえ、環境省では、検討会を設置して、「産業廃棄物行政と政策手段としての税のあり方」について検討を行い、課税の根拠となる考え方や税の効果等について、中間的な論点整理を行い、近く公表する。
中間的な論点整理では、特に産業廃棄物の流入が多い都道府県等では、産業廃棄物対策の充実強化が不可欠であり、従来の政策手法だけでは解決できない場合には税という手段を組み合わせることは評価できるところもあるものの、税収の使途を透明にするなど、応益性をより明確にすることが重要であること等を記している。
いずれにしても、これは中間的な論点整理であり、今後、可能な限り実証的なデータに基づいた分析を行い、産業廃棄物行政の立場から、税の考え方やあり方について議論を深めていきたい。