経済くりっぷ No.28 (2003年9月23日)

9月3日/情報通信委員会(委員長 吉野浩行氏、共同委員長 石原邦夫氏)

ワイヤレスブロードバンド環境の実現に向け「電波開放戦略」を推進


電波は、ユビキタスネットワーク社会を実現する上で不可欠な資源と位置付けられており、その有効利用には戦略的で透明な政策が求められている。そこで、情報通信委員会では、総務省の竹田義行 電波部長より、今後の電波政策のあり方について説明をきいた。なお、当日は、IT戦略本部への当委員会の対応状況を報告するとともに、今年度の規制改革要望案について審議した。

○ 竹田電波部長説明要旨

1.電波政策ビジョンの全体像

情報通信審議会では、さる7月末に「電波政策ビジョン」を取りまとめた。ワイヤレスブロードバンド環境を構築し、ユビキタスネットワーク社会を実現するのが今回のビジョンの狙いであり、そのための政策として、周波数割当ての抜本的見直し、周波数の再配分・割当制度の整備、電波利用料制度の抜本的見直しなどを打ち出した。

2.具体的な施策〜「電波開放戦略」

(1) 周波数割当ての抜本的見直し

世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境実現の中核となる電波利用システムが円滑に導入されるよう、抜本的に周波数割当を見直す。具体的には、有効利用されていない周波数の返還や他のシステムへの代替などにより、移動通信システム(5〜6GHz帯)や無線LAN(主に5GHz帯)、電子タグ(新たな周波数帯)などに再配分する。

(2) 周波数の再配分・割当制度の整備

<1> 迅速な再配分制度の整備
周波数の抜本的見直しに際し、周波数の利用状況の調査・公表制度を活用する。また、短期的な電波再配分では、既存事業者に損失が発生する場合があることから、損失を補償するため、給付金制度を導入する。

<2> 周波数利用の透明性の確保
欧州型のオークションによる免許人選定は、免許料高騰などの結果、有効利用が阻害される可能性がある。わが国では、透明で公正な新しい市場原理活用型比較審査方式を検討する。

<3> 周波数割当の柔軟性向上
情報家電専用帯域の導入を含め、免許不要局として小電力の共同利用型無線システムを一層拡大する。また、自由な事業展開を推進する観点から、屋外で使用するハイパワーの無線LAN等の無線局に、事後チェック型の登録制を導入する。

(3) 電波利用料制度の抜本的見直し

電波利用料は、良好な電波環境整備を目的とした「手数料」であるが、収入の内訳は導入当初に比べ、歪んだ構成となっている。電波利用料制度のあり方に関しては、経済的価値を反映した「使用料」とすべきである、算出に際して帯域や空中線電力等を勘案すべきであるなど、制度の性格や負担方法をめぐって議論がある。まずは、これらの議論に関する基本的な考え方をまとめ、その上で抜本的な見直しを推進したい。

《担当:産業本部》

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