9月25日/カナダ委員会(委員長 吉野浩行氏)

修好75周年を迎える日加関係

−最近の日加経済・政治関係について、政府関係者よりきく


Introduction
カナダ委員会では、外務省の長嶺安政 北米局参事官ほかから日加経済・政治関係について説明をきき、意見交換を行った。また、今後の同委員会の活動についての検討を行った。

I.長嶺参事官説明要旨

カナダは「Middle Power」として、世界の政治・経済に貢献しているが、インパクトという点では、強烈さに欠ける面もある。
1993年以来、クレティエン首相の下、与党自由党政権が安定的に続いている。しかし、首相は来年2月の党総裁選へは出馬しない意向を表明している。目下、次期首相の最有力候補と見なされているのは、マーティン前蔵相(昨年5月に更迭)である。自由党のナンバー2で、国民の間で極めて人気が高い。ビジネスの経験もあり、精力的なプラグマティストである。クレティエン首相とは同じ政党でもあり、政権交替があっても、政策の大きな変更はないと思われる。
カナダ経済は1997年頃から4%成長を続けているが、米国経済への依存度が高いため、米国が2001年頃から景気後退局面に入ったのと軌を一にして、減速傾向にある(2002年のGDP成長率3.3%。2003年第1四半期2.2%、第2四半期マイナス0.3%)。ただ、米国のITバブル崩壊の影響はあまり受けておらず、IT分野は比較的堅調である。2003年は2.7%、2004年は3.4%の成長が見込まれている(OECD見通し)。NAFTA(北米自由貿易協定)成立後、対米依存度がさらに高まっており、米国が輸出の8割、輸入の6割、カナダ向け外国直接投資の6割を占める。
日加関係は、基本的に極めて良好であり、両国間に懸案事項は存在しない。国連重視という面でも、両国の政策は共通しており、共同作業も数多く行われている。カナダにとって日本は、米国に次ぐ貿易パートナーである(カナダから見て、日本は輸入で3位、輸出で2位)。カナダはIT分野に力を入れており、日本と先端分野での産業協力を進めたいと望んでいる。今年はカナダに日本の領事館が設置されてから75年目の記念すべき年であり、あらゆる分野での交流強化を図っていきたい。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
WTOカンクン閣僚会議の結果を受け、FTA推進に注目が集まっている。日本はメキシコとの協定締結を目指しているが、将来、日加でもFTAを締結した場合、両国は競合するのではないか。
外務省側:
日墨協定は、日本がNAFTAとつながる第一歩であり、バイとしてではなく、面として捉えるべきだ。また、NAFTA側から見て日本の魅力が減じないよう努めることも大事だ。

日本経団連側:
政権交替によって、カナダの地球温暖化対策に変更は出るか。
外務省側:
基本政策は変わらないだろうが、実行段階でどうなるか見守る必要がある。
《担当:国際経済本部》

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