10月2日/輸送委員会(共同委員長 三浦 昭氏、岡部正彦氏)

道路行政をめぐる最近の話題について

−国土交通省 佐藤道路局長よりきく


Introduction
輸送委員会では、国土交通省の佐藤信秋道路局長より、社会資本整備としての高速道路のあり方と道路公団民営化や車両諸元の規制改革など、道路行政をめぐる最近の話題につき説明をきくとともに意見交換を行った。

I.佐藤局長説明要旨

1.道路整備の現状と課題

日本は、高規格道路による空港・港湾へのアクセス道路整備、渋滞による時間損失、電線類地中化率や高速道路一般の整備状況において、諸外国に後塵を拝している。現在の計画が予定通り実施されても諸外国の6〜7割程度に過ぎず、このような現状を踏まえると、採算が取れないという理由で、単純に道路建設を中止するわけにはいかない。国民負担の最小化が最善策ではなく、どの程度の資本を投下し、そこからどういう便益を享受するのかという視点が、わが国経済を活性化させる上でも重要である。1兆円の道路投資は、供用開始後10年間でGDPを2.8兆円、税収を5,700億円増大させる。

2.道路関係四公団民営化について

昨年末に道路関係四公団民営化推進委員会の意見書がまとめられ、政府は、その趣旨を基本的に尊重する方針で取り組むとの閣議決定をした。今後、高速道路の建設コストの2割削減、運営費の3割削減、総額3兆円程度の無料高速道路整備の検討などが必要となる。また、同委員会の審議過程において、建設中高速道路の取り扱いについては、金銭的な採算判断ではなく、費用対便益の判断を第一の基準とする考え方が承認された。
そこで、当局としては、そのような趣旨を踏まえ、現在、2005年度中の公団民営化に向けて、関係法案を来年通常国会に提出すべく、検討中である。

3.最近の主な道路政策について

道路行政については、成果目標(アウトカム指標)を立てて評価する成果主義に基づくマネジメントへの転換を図っている。たとえば、今後5年間で、渋滞損失の1割(約1.2兆円)削減、ETCの全国普及率を70%まで促進、主要幹線道の電線類地中化率を現在の約2倍にすることなどである。

4.物流の効率化に向けた取り組みについて

規制緩和としては、すでにエアサス車の軸重規制緩和、総重量規制の緩和を実施した。今後、車高規制の緩和、特殊車両通行許可手続の見直しをする予定である。他方、道路の保全上必要な対策として、特殊車両通行許可に関して厳格な運用を実施する。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
  1. 三環状道路の建設を速やかに実施すべきである。
  2. ETC普及の観点から、混雑時にもETC専用レーンを設けるべきである。
  3. 重量違反車両に対する、行政の取り締まり強化策について伺いたい。

佐藤局長:
  1. 15年〜20年後の完成を目標に努力したい。
  2. 混雑時にも専用レーンを確保すべく、関係方面と調整中である。
  3. 取り締まり回数の増加や条件違反車に対する取り締まり実施を関係方面と調整中である。
《担当:産業本部》

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