10月27日/アジア・大洋州地域委員会(共同委員長 茂木友三郎氏)

深まるASEANとの協力関係


Introduction
アジア・大洋州地域委員会では、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長、経済産業省の鷲見良彦大臣官房審議官、財務省国際局の門間大吉地域協力課長より、10月7日〜8日の日程でインドネシアにて開催された日・ASEAN首脳会議をはじめとする東アジア諸国の首脳会議の模様と、日・ASEAN経済関係の今後の展望を中心に説明をきくとともに、意見交換した。

I.薮中局長説明要旨

  1. 日・ASEAN首脳会議(10月8日)において、日・ASEAN包括的経済連携構想の枠組みに合意できたことは大きな成果の一つである(内容は後述)。本年は日・ASEAN交流年であり、その締めくくりとなる12月の日・ASEAN特別首脳会議において、今後の日・ASEAN関係の基本的な方向性を示す共同宣言を発表したいと考えている。

  2. 近年、中国やインドなどがASEANとの関係を強化してきているが、日・ASEANの関係は古く、日本としてASEANを最重要パートナーの一つと位置づけ、協力関係をさらに強化していくことが重要である。

  3. 日中韓首脳会議(10月7日)では、3カ国首脳による初の共同宣言を発表することができた。これまでの協力関係を踏まえ、経済分野を中心に、文化・人的交流、政治・安全保障の分野での協力を進めていく。

II.鷲見審議官説明要旨

  1. 日・ASEAN包括的経済連携構想については、2004年初から協議を開始し、2005年初からの交渉開始を目標とし、さらに、できるだけ早期に交渉の結果を得るよう努力することで合意した。その際、タイ、フィリピン、マレーシアなどとの二国間の経済連携協定とASEANの統合プロセスの進展を考慮する。二国間の協定では実現しない日・ASEAN間の原産地規則などに取り組んでいきたい。

  2. 日・ASEAN経済大臣会合(9月18日)の際に、日本より日・ASEAN経済連携協力イニシアティブを発表した。包括的経済連携構想を側面支援すべく、(1)貿易投資連携強化支援、(2)競争力強化支援・産業協力、(3)新規加盟国支援を行っていく。

III.門間課長説明要旨

  1. 1997年のアジア通貨危機を踏まえ、ASEAN+日中韓の間で、(1)チェンマイ・イニシアティブ、(2)短期資本移動の監視・データ交換、(3)政策対話を進めている。

  2. アジア諸国では、債券市場が育成されていないため、豊富な貯蓄が必ずしも国内投資に活かされていない。本年8月には、アジア債券市場イニシアティブに合意しており、(1)より多様な債券発行主体の市場へのアクセスの促進、(2)アジア債券市場の育成を促進すするための環境整備に取り組んでいる。

《担当:国際経済本部》

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