10月27日/アメリカ委員会(司会 本田敬吉 企画部会長)

急速に回復しつつある米国経済の現状と見通し

−ウッドワースホールディング社 ウッドワース社長よりきく


Introduction
アメリカ委員会では、ニューヨーク市の経済アドバイザーでウッドワースホールディングス社のジェイ・ウッドワース社長を招き、米国経済の現状と見通しについて話をきくとともに、懇談した。

ウッドワース社長説明要旨

1.米国経済の現状

米国経済は急激に回復しつつある。しかし、2004年を通じて経済成長が持続するかどうかについては、さまざまな見方がある。減税効果が薄れる来春には、景気回復が滞る懸念もある。懸念材料としては、諸外国の景気回復が遅れており、外需による景気回復への寄与は望めないこと、米国民の個人負債のレベルが依然高いことなどが指摘される。
本年9月にはチェーン販売店の売り上げが、2000年末以来最も急激なペースで増大するなど、個人消費は明らかに拡大している。しかし、雇用の回復の遅れ、イラク情勢、コーポレート・ガバナンスを巡る問題などにより、消費マインドは衰退している。
住宅着工件数は低金利により、急拡大を続けている。住宅価格は、この7年間で急上昇したが、最近落ち着いてきた。
株価はイラク戦争後に急上昇し、企業収益もそれに伴い急激に回復した。その結果、株価収益率の値は相対的に低くなっている。
米国の貿易赤字が拡大する中、米国の海外からの資本流入への依存度も高まっている。この18ヵ月間でドルは大きく下落し、1990年代の「強いドルの時代」は終わった。他方、日銀による市場介入により円高は抑制されている。
大規模な減税、防衛支出の増大、および景気後退により連邦財政は再び赤字に転落した。
今後も成長が期待される分野は、住宅建設、個人消費(自動車を除く)、連邦支出(軍事を除く)、軍事支出である。また、新規設備への民間投資も伸びが拡大している。他方、州や地方政府の財政は悪化しており、新規インフラへの民間投資も減少している。乗用車販売台数も8月に急増した後、減少している。

2.米国経済の見通し

連邦政府の政策に大きな変更は予定されておらず、向こう半年間、金利も添え置かれることが予想される。
よって、ドルは引き続き下落するであろう。
来年の米国経済の見通しとしては、向こう半年間、現在の景気刺激策の効果が尽きるまでは急成長が続くだろう。2004年の実質GDPは、2003年予想の2.3%の倍に近い4%が予想される。株価は、企業収益の改善に伴い、更なる上昇の余地が残されている。金利の引き上げは、2004年春までは無いだろう。長期金利は、来春まで4〜4.5%で推移し、来年末にかけてゆっくりと5%まで伸びるであろう。

《担当:国際経済本部》

くりっぷ No.32 目次日本語のホームページ