11月12日/第30回北陸地方経済懇談会

民主導・自律型の経済社会の実現と北陸経済の発展に向けて


Introduction
日本経団連・北陸経済連合会(北経連)共催の標記懇談会が福井市において開催され、日本経団連側からは、奥田会長、千速・西室・柴田・宮原・西岡の各副会長が出席し、地元経済人約90名の参加のもと、活発な意見交換を行った。また、懇談会に先立ち、日本経団連側は日華化学を訪問し、界面活性剤等の研究開発現場を視察した。

I.北経連側発言要旨

1.開会挨拶
山田圭藏氏 〔北経連会長・北陸電力会長〕

北陸地方の経済情勢は、企業収益の改善が見受けられるものの、個人消費が弱めに推移し、雇用情勢も厳しい状況にある。北経連が会員企業に対して9月上旬に実施したアンケートでも、「景気は回復基調にある」と回答した企業が昨年に比べ増加したものの、回復時期については8割の企業が「2005年度以降」と回答している。小泉新内閣には、早期の本格的な景気回復に向け、選挙公約で示した諸政策を着実に実行してもらいたい。
北経連では、昨年1月に公表した「中期アクションプラン」の2本柱である「社会資本整備」と「21世紀にふさわしい魅力ある地域づくり」の実現に向けて、本年も引き続き取り組んでいく。特に、北陸新幹線の富山以西への延伸実現に向けて関係方面への働きかけを強めていく。

2.社会資本整備の促進について
宮 太郎氏 〔北経連副会長・大和相談役〕

北陸新幹線の未着工区間のスキーム見直しが行われる予定である本年は、われわれにとってまさに正念場の年である。特に、富山〜南越間のフル規格による早期整備・工事実施計画の一括認可、南越〜敦賀間についての工事実施計画の認可申請をぜひとも実現させたい。北陸新幹線の整備促進については、これまで30数年間要望し続けており、他の公共工事と同じく財政難との理由から検討が先送りされるべきではない。
高規格幹線道路も早期完成を図る必要がある。特に、東海北陸自動車道は全線開通まであと25kmを残すのみであり、機能を最大限に発揮するためにも早急に整備を進めるべきである。

3.新技術・新産業の創出・支援
江守幹男氏 〔北経連副会長・日華化学会長〕

新技術・新産業の創出をめざす目的で設立された北陸スーパー・テクノ・コンソーシアム(STC)事業はまもなく3年目を迎え、登録会員数も約420名と発足当時に比べほぼ倍増している。これまで、情報交換の場として「北陸STCサロン」を10回開催し、述べ参加者数は約1,800名、発表案件は約90件に達した。さらに、このSTCサロンで出た案件をバックアップし、共同研究や事業化に向けた支援を行う「目利き委員会」を延べ4回開催している。
また、「北陸ものづくり創生協議会」では、健康・癒し・福祉などをキーワードに研究する「北陸ライフケアクラスター研究会」と高度精密加工・材料分野を対象とする「北陸マイクロナノプロセス研究会」が設立され、事業化に向けた活動が展開されている。

4.広域連携による共同事業の推進
八嶋健三氏 〔北経連副会長・北陸銀行特別参与〕

北経連では、一昨年に「北陸広域連携懇話会」を発足させ、観光や環境といった地域横断の重要課題に取り組んでいる。まず、広域観光については、本年は「彩りの北陸ロマン回廊」をコンセプトに、北陸3県の魅力ある観光回廊を紹介するキャンペーンを実施し、北陸への誘客を図っている。環境については、昨年12月に「北陸環境共生会議」を設立し、リサイクル認定商品や環境PRに関するリーフレットの作成および配布、総合シンポジウムの開催等、循環型社会の形成に向けた活動を行っている。なお、地方分権については、「今後、道州制等の新たな地方制度の導入検討が必要」との考えのもと、勉強会等の準備を進めている。
環日本海交流の促進について、韓国とは「北陸・韓国経済交流会議」を基盤に官・民での交流活動を展開している。本年5月には第4回会議を開催し、具体的な商談も数多く行われるなど、成果が出てきている。

5.フロア発言(要旨)

自由討議において、以下のような意見が出された。

  1. 地方分権改革の推進に向けた国と地方の財政、道州制を含めた地方自治体のあり方について一層議論を深める必要がある。

  2. 環日本海交流のゲートウェイとして、人・物流、広域観光、地域間競争力強化に資する北陸地方の社会資本整備促進が必要である。

  3. 電力の安定供給のためには原子力発電の推進が不可欠である。

  4. 中国とのビジネスを検討している企業が増加しており、人民元を切り上げるべきとの声が大きくなってきている。

  5. 観光産業は、地域経済活性化、交流人口増大の観点から今後ますます期待される産業であり、産業育成に取り組むべきである。

  6. 「環境税」が導入されれば、企業の重税感が増幅され、生産拠点の海外移転がさらに加速する懸念がある。

  7. 新事業・新産業の創出について、具体的な成果を出すためにはどのような活動に重点を置くべきか助言願いたい。

II.日本経団連側発言要旨

日本経団連側からは、西室副会長より「税制改正をめぐる動き」、柴田副会長より「最近のエネルギー政策をめぐる動向」、宮原副会長より「政治への取り組み」について、それぞれ活動報告があった。また自由討議に際し、西室副会長より「地方分権の推進」、柴田副会長より「欧米諸国の原発推進状況」、千速副会長より「中国をめぐる課題および環境税」、宮原副会長より「広域観光」、西岡副会長より「新事業・新産業の創出」について、それぞれ発言があった。
最後に、奥田会長より、北陸におけるさまざまな取り組みを踏まえつつ、日本経団連として民主導・自律型の経済社会の実現に向けて積極的に取り組んでいくとの総括があった。

《担当:総務本部》

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