11月13日/産業技術委員会知的財産部会(部会長 石田正泰氏)

知的財産に関するディスクロージャー促進のための指針を検討


Introduction
産業構造審議会知的財産政策部会では、経営・情報開示小委員会において、企業の知的財産に関する情報開示の指針および知的財産戦略指標について検討を進めている。企業の知的財産に関する情報開示の指針は、本年度中に策定することとされているものであり、この課題を中心に、経済産業省の小宮義則知的財産政策室長から説明をきき、意見交換を行った。

I.小宮室長説明要旨

わが国の産業競争力を、知的財産を企業の経営戦略や研究開発と一体的に活用しながら高めていくためには、企業の知的財産戦略が適切に投資家に評価されるとともに、企業の知的財産戦略の立案実施にあたって目標となる指標が必要である。

1.企業の知的財産情報の開示指針の検討

(1) 知的財産情報開示の政策的意義

わが国企業の価値が市場で適正な評価を受けるためには、証券市場が個々の企業における知的財産の位置づけを事業との関係で的確に把握できる開示のあり方を検討する必要がある。
事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略が三位一体となって競争力に貢献していることが分析可能になるような情報を、機関投資家は重要であると判断していることを考慮すべきである。

(2) 知的財産情報開示指針のあり方

本年3月にまとめた特許・技術情報の開示パイロットモデルの試行結果と、知的財産の情報開示に関する市場関係者の要望を踏まえ、知的財産情報の開示指針について検討を進めている。
知的財産情報開示の位置づけは、あくまでも任意の開示となるが、開示にあたっては、前提条件となる事項あるいは数量的裏づけを伴うことが望まれる。
開示媒体は、開示内容を勘案しつつ発行体が適宜選択することが望まれるが、投資家の利便性を考慮し、知的財産の視点から整理した「知的財産報告書」を作成することが望まれるのではないか。

2.知的財産戦略指標の検討

知的財産を核とした産業競争力強化のため、知的財産関係の活用度合いを測ることができるとともに、将来的な目標設定に役立たせることができるような知的財産戦略指標をあわせて検討している。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
知的財産情報の開示は、製品ごとに特許の価値が異なることを踏まえて行うことが重要である。そのためには、開示方法には企業ごとの工夫が必要である。
また、契約で守秘義務があるものは開示できない。
知的財産情報の開示にあたっては、一律の定義のもとに横並びの数値情報を求めるのではなく、企業による任意開示を原則としていただきたい。

小宮室長:
知的財産情報開示指針の検討にあたっては、引き続き日本経団連と意見交換していきたい。
《担当:環境・技術本部》

くりっぷ No.33 目次日本語のホームページ