12月16日/意見書

「企業の自発的政治寄付に関する申し合わせ」を決定


日本経団連は12月16日、理事会において「企業の自発的政治寄付に関する申し合わせ」を決定し会員企業に送付した。日本経団連では、かねてから、政党の政策評価を基に企業・団体の自主的な政治寄付を促進すべく具体策を検討してきた。この「申し合わせ」は、会員企業が政策評価を参考に日本経団連の会費相当額を目安に自発的に寄付することを確認したものである。

企業の自発的政治寄付に関する申し合わせ

2003年12月16日
(社)日本経済団体連合会

日本経団連は本年1月、民主導・自律型経済社会の実現に向けた改革を加速するため、政治に積極的に関与していくことを宣言した。これを受けて、緊急かつ重要と思われる10項目の「優先政策事項」を決定し、これらに照らして各党の政策を評価し、企業が自主的に政治寄付を行う際の参考に供することとした。
かかる方針を踏まえ日本経団連の会員企業は、政治寄付を企業の社会的責任の一端としての社会貢献と認識し、政策本位の政治、議会制民主主義の健全な発展、政治資金の透明性向上を目指して、下記により、自発的に政党の政治資金団体に寄付することを申し合わせる。

1.政党の政策評価

(1) 評価対象政党

原則として全政党とする。なお、企業の政治寄付に賛同しない政党は評価の対象外とする。

(2) 優先政策事項に照らした評価

(1)優先政策事項と政党の政策との合致度、(2)実現に向けた取り組み、(3)実績の観点から評価する。なお、優先政策事項は毎年改定する。

(3) 包括的事項の評価

上記の優先政策事項に加えて、政策本位の政治に向けた取り組みや政治資金の透明性向上への取り組みなど、政党活動全体を包括する事項についても論評する。

(4) 評価結果の公表

年初に公表する。必要に応じ追加評価を行なう。
なお、第1回評価は2004年1月に公表する。

2.各企業の寄付額の目安

日本経団連の会費分担基準に基づく年会費相当額を政治寄付額の当面の目安とする。

3.寄付実施に当たっての政党への要望

(1) 政策立案・推進能力の強化

政党は、政策立案・推進能力を格段に向上させるとともに、国民との政策対話を強化すべきである。民間からの寄付はこのような政策立案・推進能力の強化に充当するよう要望する。

(2) 政治資金の効率化と透明性の向上

政党は、活動経費の効率化と政治資金の透明性向上に努める。その一環として、民間寄付の使途を公表するよう要望する。

以上

【ご参考】

優先政策事項

  1. 経済再生、国際競争力強化に向けた税制改革
    雇用の維持・創出、国民生活の安定のため、経済の再生と企業の国際競争力強化に資する税制改革を進める。

  2. 将来不安を払拭するための社会保障改革
    少子高齢化に伴う国民の社会保障制度に対する不安を払拭するため、社会保障、財政、税制を一体的に改革する。

  3. 民間の活力を引き出すための規制・行政改革
    官主導社会から脱却し、個人や企業の多様な挑戦によって新たな雇用や事業を生み出し社会全体を発展させるため、規制・行政改革を推進する。

  4. 科学技術創造立国の実現のための環境整備
    科学技術創造立国の実現を目指し、産業の国際競争力を強化する。

  5. エネルギー戦略の確立と産業界の自主的取り組みを重視した環境政策の推進
    国民生活や経済活動の安定・繁栄の基盤を強化するため、エネルギー・環境政策を推進する。

  6. 心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進
    創造性や国際性に富み、心豊かで個性ある人材を育成するため、教育の質の向上と教育現場の活性化をはかる。

  7. 個人の多様な力を活かす雇用・就労形態の促進
    社会の活力を引き出すため、個人の多様な価値観を反映した雇用・就労形態を整備し、円滑な労働移動をはかる。

  8. 活力とゆとりを生み出すための都市・住環境の整備
    社会全体の活力とゆとりを生み出すため、防災の視点も踏まえて、都市・住環境の整備・改善をはかる。

  9. 地方の自立を促す制度改革と活性化対策の推進
    日本全体の活性化のため、中央集権・官主導体制を転換し、地域の自立を促し、それぞれが特色を活かして発展できる施策を推進する。

  10. グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進
    グローバル競争の激化に即応して、対外、対内の貿易・投資活動を促進する政策、ならびに経済協力政策を戦略的に進める。

以上

《担当:社会本部》

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