12月18日/日本トルコ経済委員会(委員長 梅田貞夫氏)

日土両国の経済関係を、イラク復興への協力などを通じて一層強化したい

−ギュル トルコ外務大臣兼副首相と懇談


Introduction
訪日したトルコ共和国のアブドッラー・ギュル外務大臣兼副首相を招き、懇談会を開催した。同大臣は、トルコ経済が順調に回復していることを強調し、ITなど日土間の関係強化に大きな期待を表明した。また、イラク復興では、インフラ整備などで両国企業の協力の可能性を指摘した。

I.ギュル大臣説明要旨

ギュル 外務大臣兼副首相
  1. トルコは現在、不安定な連立政権から公正発展党(AKP)による単独安定政権を確立し、迅速に必要な立法措置をとり、経済社会の改革を実施している。トルコの民主的なスタンダードはEUと同等であり、経済面でも躍進が可能である。
    外交面では、EU加盟について、トルコは早期の正式交渉開始を目指している。また、キプロス問題も解決に向けて前進している。

  2. トルコの経済状況について、2000年、2002年の経済危機後、(1)変動相場制の導入、(2)財政緊縮政策、(3)構造改革の推進の3つの柱からなる経済プログラムを実施した。IMFの支持を取り付け、実体経済を改善し競争力を強化している。また、投資環境を改善し、外国直接投資の一層の誘致を図っている。トルコ経済は、2002年中に回復軌道に乗り、中国に次ぐ世界第2位の成長率8%を記録した。2003年は目標値の5%を上回る経済成長が見込まれる。2003年の財政のプライマリー黒字は、GNP比6.5%を目標としているが、達成されるであろう。また、2004年には、公的債務のGNP比は66%に減少するであろう。トルコの輸出は急速に拡大しており、2003年には440億ドルを達成する見込みである。

  3. トルコは日本との二国間関係を一層緊密化していきたい。両国は地理的に遠いが、共通の価値観を有する。日本からの金融面での協力は満足の行くものであるが、貿易面は両国の潜在力には程遠いレベルである。また、日本のトルコへの直接投資は、世界第8位にすぎない。この10年間で、トルコのITインフラ、ソフトウエア産業は急速に拡大している。特に、トルコはソフトウエア開発分野での教育水準が高く優秀な人材が豊富である。日本はトルコとIT協力により、6,000億ユーロの欧州のIT市場に、トルコからアクセスできる。また、観光分野でも、今後の発展が見込まれる。

  4. トルコは、隣国イラクの再建と復興に貢献する義務がある。特にイラクのビジネスには豊富な知見と経験を有するので、両国企業が協力して、鉄道、電力、ダム、空港、道路、住宅、水、衛生などのインフラ整備でイラク復興に取り組むことができる。

II.意見交換(要旨)

日本経団連側:
イラクでは、治安が大きな問題である。労働者の安全をどのように確保するのか。

ギュル大臣:
トルコとイラクは緊密な関係がある。親戚のようなものであり、イラク人はわれわれを外国人と思っていない。親トルコ的で共感があることが強みである。
《担当:国際経済本部》

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